2020年04月22日

1996年のウィンブルドン女子準決勝で 伊達がみせた驚異的なねばり

1996年のウィンブルドン女子準決勝、
グラフと伊達の試合が「伝説の名勝負」として放映された。

このごろはあたらしい番組をつくれないせいか、
再放送とか、むかしの名試合がおおい。
伝説の名勝負というからには、伊達がいい試合をしたのだろう。
たのしみにみはじめたけど、
でも、1セット目は、グラフのつよさを徹底的にみせつけられた。
伊達がむつかしいボールになんとかおいついても、
さらにそれをうわまわるスーパーショットでとどめをさす。
伊達がひろってもひろっても、得点をあげるのはグラフだ。
2人とも、もちろんうまいのだけど、
たとえばフォルトのボールをどうさばくかなど、
ゲームと関係ないところにあらわれるふたりの達人ぶりがかっこいい。

2セット目にはいっても、あいかわらずグラフのペースだ。
ただ、だんだん伊達のうごきがつながるようになる。
1、2ゲームはうしなったものの、
そのあとつづけて6ゲームを伊達がとる。
試合のくみたてがうまく、グラフを左右にふっておいて、
重心がうつったのと逆の方向にボールをうちこむ。
グラフのサーブは驚異的なスピードだけど、
この日はなかなか第1サーブがきまらない。
反対に、伊達のフォアへのふかいリターンが効果的だった。
グラフのいらいらがまし、
うまくいかないなーという表情がみてとれる。

試合のとちゅうで観客席から
「グラフ、ぼくと結婚して!」と声がかかる。
場内にわらいがわきおこり、グラフもほほえみをうかべ、
「お金はいくらもってるの?」とかえす。
これでまたわらいがおこったのだけど、
伊達はこのとき「わたしじゃだめ?」
といおうとおもっていた、とネットにでていた。
シャイなので、くちにできなかったそうだ。
試合ちゅうの静寂にたいし「サンキュー」と
アナウンスがあるテニスにおいて、
こんな場面がうまれるのだから、
さすがはウィンブルドン、というかんじ。

2セットがおわったところで日没順延となり、
3セット目は翌日にもちこす。
この日のグラフはサーブがさえ、かんたんにキープする。
おたがいに2つずつゲームをキープしたあと、
グラフはブレイクをはさみ3ゲームつづけてとる。
1ど目のマッチポイントはだてがキープしてのがれたものの、
つぎのゲームはあっけなくおとし、6−3でやぶれた。
2セット目でみせたねばりが この日は再現できなかった。
「伝説の名勝負」だったのは2セット目だけで、
のこりはずっとグラフが主導権をにぎっていた試合だ。
それだけに、伊達のいきおいを3セット目にもちこせなかった
日没順延のあつかいが残念だった。

24年まえのこの試合を、わたしはまったくおぼえていない。
新型コロナウイルスの影響で、
テレビとラジオの番組づくりがむつかしくなっており、
そのおかげでグラフと伊達のつよさがよくあらわれた
「伝説の名勝負」をたのしめた。
伊達選手がえんじた2セット目の驚異的なねばりは
「伝説の名勝負」の名にあたいする。

posted by カルピス at 21:49 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする