(平畠啓史・ヨシモトブックス)
「サッカーダイジェスト」に連載されたコラムをまとめたもの。
平畠さんは、NHKBSの「Jリーグタイム」に
ときどきゲスト出演されており、
サッカー愛にあふれたおしゃべりがいいかんじだ。
まえはJ2特集の担当みたいなポジションだったけど、
このごろは、J1の試合を速報する、ふつうの回にも顔をみせている。
Jリーグというと、J1ばかりが注目をあつめがちだけど、
平畑さんは、J2やJ3の試合にも足をはこび、
選手だけでなく、サポーターにも声をかける。
とにかく、サッカーがすきでたまらないひとのようで、
頭のなかには はかりしれない量の知識・情報が蓄積されている。
「Jリーグタイム」に出演するときも、
ほかの解説者が戦術についておおくかたるなかで、平畠さんは
選手やサポーターが、どんなおもいでいるかを的確にすくいあげる。
Jリーグがどうしたらもっともりあがっていくかに気もちをこめる。
本書は11章からなり、ひとつのはなしは3ページ弱とみじかい。
誠実なひとがらが、そのままあらわれている文章で
よんでいて とてもいい気もちになってくる。
はなしのおわりに(マニアック指数)がそえてあって、
たしかにものすごくマニアックなはなしもあるけど、
でも、どれもサッカーへのあついおもいにみちている。
それぞれのコラムにマニアック指数なるものがありますが、これは驚くほど何の目安にもなりません。
がおかしい。
「サッカーパンツのはきかた」
「選手たちがバスにのるときの席順」
ほんとにサッカーがすきなおっさんだ。
平畠さんがスタジアムへいくと、
サポーターから声をかけられる。
「ひらちゃん、ちょっと話を聞いてもらっていいですか?」
ほかのサッカー解説者に、
こんなふうな声かけはふつうしないだろう。
アルウィンで松本山雅FCが好きでたまらない40代くらいの女性と出会った。ホームゲームが待ちきれず、練習見学にも行くという。ただ、大人になればいろいろな用事がある。見学できない日はどうするのか訊いてみると、驚愕の答えが返ってきた。「妄想します!」
Jリーグは、こんなあついサポーターにささえられている。
平畠さんもまた、Jリーグの魅力を
おおくのひとにひろめている伝道師だ。
Jリーグは、わずか27年のあいだに、日本のスポーツ文化として、
全国各地にひろく、ふかく、根をひろげた。