職場からのかえり道、わたしのまえを
小学校5、6年生にみえる女の子があるいていた。
その子は、庭木に水をやっていた近所のおじさんに
「こんにちは」と自分から挨拶をした。
おじさんは、すぐに「おかえり」とかえす。
いい子だなーとおもって感心していたら、
そのちょっとあとで、女の子が、
自分の家についたときのやりとりがきこえてきた。
どこかへいこうとしていたお父さんと、
玄関でばったりであったようで、
「あーびっくりした」というお父さんの声がする。
そのあと
「おかえり!」
「元気でかえってきてよかった!」
と、お父さんははじけるようなあかるい声で
むすめが無事にかえってきたことをよろこんでいた。
「ただいま」というあいさつにたいし、
「おかえり」くらいはだれでもいうだろう。
でも「元気でかえってきてよかった!」はすごい。
そんなふうに、よろこびをくちにできるお父さんがすてきだ。
ひきこもりのむすめが、数ヶ月ぶりに学校へいけた、
あるいは、むすめが1週間ほどの旅行からかえってきた、
とう状況ならわかるけど、
おそらくまいにちくりかえされている
学校へのいき・かえりにともなう 一場面にすぎない。
それを、「元気でかえってきてよかった!」
と 手ばなしでよろこべるなんてすばらしい。
かえってきただけでもうれしいけど、
そのうえ「元気」なのだから、もういうことはない、
というお父さんのよろこびが 自然とことばにあらわれている。
親にとっての最高のしあわせは、よくかんがえてみると、
げんきに子どもがかえってくることかもしれない。
「元気でかえってきてよかった!」
といわれた女の子は どんなにうれしいだろう。
きっとすてきな子にそだつ、いや、
もういい子にそだっているのだろう。
そんな家族だからこそうまれた
「元気でかえってきてよかった!」のやりとりだ。
きいているだけで胸がいっぱいになる、あたたかな会話だった。