2020年09月20日

とにかくかっこいい『キングスマン』

『キングスマン』
(マシュー=ヴォーン:監督・2014年・イギリス)

しりあいがおしえてくれた作品。
「スパイ映画?」ときくと、
「んー、でもとにかくかっこいい」という。
たしかに、スパイ映画とはいえないけど、
「とにかくかっこいい」のはたしかだ。

キングスマンとは、どこの国にもぞくさない諜報機関であり、
紳士の国、イギリスはロンドンに本拠地がある。
「キングスマン」は、なんにんかいるようで、
そのだれもがスーツをきめている。紳士なのだ。
冒頭で、「マナーが人間をつくる」というセリフがでてきた。
階級で人間の質がきまるのではないとキングスマンはいう。
他人より優れていることは気高さではない。真の気高さとは以前の自分自身よりも優れていることだ。

紳士であることがキングスマンだ。
紳士だからかっこいいのだ。

悪の秘密結社、といっても、
鷹の爪団よりもはるかに規模がおおきな組織
(トップのバレンタイン役はサミュエル=L=ジャクソン)が、
世界征服をたくらんでおり、その計画を阻止しようとするのが
キングスマンの使命だ。
下品な悪役をやらせると、サミュエル=L=ジャクソンはうまい。

父親が元キングスマンだったエグジーは、
キングスマンになるための候補生にえらばれ
6人のメンバーといっしょに訓練をつむ。
ものがたりは、訓練のようすと並行して、
キングスマンとバレンタインたちのたたかいがえがかれる。

バレンタインの組織は、世界じゅうに無料のSIMカードをくばる。
そのスマホをつかうひとは、バレンタインから合図をおくられると、
まわりの人間をころそうと、凶暴化してしまう 。
また、えらばれたエリートたちの首にチップをうめこみ、
おもいどおりにあやつれる状態にしている。
バレンタインは、人口がふえすぎたのが
いろいろな問題の根源にあるとかんがえており、
ひとの数をへらすのが彼の計画の最終目的だ。

人間を凶暴化させるという手段に問題があるとしても、
ひとの数がふえすぎた、といのはわたしもまったく同感で、
おおすぎる人口をなんとかしなければ、
あらゆる問題の解決はむつかしいのではないか。
水も食料も燃料も、70億人、
そしてこれからさらにふえつづける人口を、
まかなうだけの量はない。
世界をすくうには、ふえすぎた人口を
なんとかしなければ、というのはほんとうだ。

キングスマンたちのはたらきで、
なんとかバレンタインたちの計画はふせがれた。
といっても、チップを首すじにうめこまれたひとたちは、
チップが爆発する信号をおくられて、
つぎつぎと頭がふっとんでいく。
本来なら残虐なシーンとなるわけだけど、
ポップな音楽をバックにながし、まるでうちあげ花火大会だ。
めでたしめでたしの、はなやかなおまつりとなる。

エンディングがはじまり、あーおもしろかった、と、
いったん席をはなれたら、まだつづきをやっていた。
オープニングにちかいシーンで、キングスマンのひとりが
かっこよくチンピラをたたきのめす場面があり、
それがさいごにまた再現されていた。
えんじるのは、もちろんキングスマンとなったエグジーで、
セリフまでいっしょだ。「一日中たってるつもりか?」。
マシュー監督はチャーミングに映画をつくるコツをしっている。
わたしのこのみにピッタリで、さいごまでたのしませてくれた。
改良したこうもり傘を武器にたたかうとか、
靴には毒をぬったナイフがかくされており、
ライターは手榴弾とか、スパイグッズが満載でわらえる。
ここらへんはジョニー=イングリッシュとかわりがない。
007とジョニー=イングリッシュとキングスマンと。
3者を頂点とした正三角形が、イギリスでかたちづくられた。

posted by カルピス at 22:22 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする