『本の雑誌 12月号』は、「45周年&450号記念号」。
「本の雑誌」の45年をふりかえった
「本の雑誌事件簿」がおもしろかった。
現在の職員や、これまでにはたらいていたひと、
それに「本の雑誌」とふかくかかわりのある関係者が、
「本の雑誌」について おもいでをかたる。
「10大事件簿」は編集長の浜本さんによるもので、
「目黒考二ロックアウト」(部屋にはいれなくなっただけ)、
「目黒考二尿管結石に罹患」など、
「本の雑誌」らしく、どうでもいい「事件」がおおいなか、
「休刊危機」(2008年)や「菊池寛賞受賞」は
たしかに「10大事件」にえらばれるべきできごとだった。
とくに休刊危機は、きゅうにしらされた経営不振であり、
このさきどうなるか不安だったのをぼえている。
「本の雑誌」が、もし休刊になったら。
むかしみたいに隔月や季刊にしたら、という手もあるけど、
雑誌はいちど休刊になると、事実上それっきりになってしまう。
わたしには、本についてはなせるしりあいがすくなく、
この雑誌をひらくのは、同好の士があつまる
部室をおとずれるようなかんじがしている。
ことしは新型コロナウイルスがひろまるなか、
それでもあたらしい号をだしつづけてくれる「本の雑誌社」の存在が、
どれだけありがたいか はかりしれない。
毎月の特集では、本にまつわる あたらしいうごきにふれられるし、
「新刊めったくたガイド」は、旬のおもしろ本をおしえてくれる。
ときどきぶあつい海外ミステリーをよみたくなると、
「本の雑誌」からの情報はとてもありがたい。
わたしごのみの連載も、いつもいくつか用意されている。
いまは宮田珠己さんの「私がロト7に当たるまで」と、
高野秀行さんの「SF音痴が行くSF古典宇宙の旅」がたのしい。
目次をながめていると、あらためて雑多な内容なのがわかる。
450号もつづけてきて、よく毎月「特集」をくめるものだ。
12月号のさいごのほうに、
「本の雑誌社が45年間に刊行した単行本と別冊・増刊号」
の一覧がのっている。
8ページにわたる壮観なリストに、
「本の雑誌」がつみあげてきた歴史をおもう。
単行本をよむだけが、本のたのしみではなく、
すぐれた「雑誌」(という名の本だけど)もまた、
活字中毒者にはなくてはならない。
こんな本は、「本の雑誌」にしかつくれない。
あたりまえのように、毎月あたらしい
『本の雑誌』をひらけるしあわせをおもう。
これからも、ずっと「本の雑誌」とともに生きていきたい。