「健康第一主義を考える」として
大脇幸志郎さんへのインタビューがのった。
大脇さんの「生活を大切に」というかんがえ方は、
いまの状況で、とても大切な感覚におもえる。
(編集部)
そうすると、どういう対策がいいのでしょうか。もし大脇先生が分科会の会長だったら。
(大脇)
いちばん大きい方針は、みんなが今までの生活の中で大切にしていたものを極力維持することかな。生活を中心に考えたいんです。たとえば飲み会はZoomでもできるって言うじゃないですか。(中略)人付き合いを仕事にしている営業の人だったらZoom飲み会では成り立たないと思うんです。授業も対面だからつたわっていた要素があるはずなんですが、Zoomではそぎ落とされてしまう。
(編集部)
ただみんなで健康になろうというのは、一見いいことのように聞こえますけれど。
(大脇)
そう、ある面では正しいんですけれど、こぼれる人が出るんです。私はこぼれるほうに注目しています。するとどこかで健康に反対せざるを得ない。(中略)もちろん誰も切り捨てないなんてことはできませんから、きれい事なんですが、きれい事を言わないところに正義はない。
(大脇)
「未来少年コナン」が最近再放送されて、例のシーン(タバタバをすうシーン)がちゃんと流れたじゃないですか。あれ、とても良かったなと思っています。(中略)ちなみに、喫煙者が多かったころからすでに日本は長寿国でした。タバコが寿命を縮めると言ってもたかが知れているということがわかります。
(編集部)
タバコがさほど体に悪くないというのはさすがに極論ではないでしょうか?
(大脇)
それも程度問題なんですよ。健康の話は白か黒かの両極端にまで単純化されがちですが、ほとんどの真実はそのあいだにあるんです。(中略)ほっとけばそのうちノロウイルスがいるから生牡蠣は禁止されるでしょうし、高齢者の餅も禁止されます。そんなの嫌だという感覚を大事にしてほしいんです。
(大脇)
健康第一主義は努力したら健康になれそうな人しか見ていないからです。努力してもダメな人や努力しない人は無視することによってその言説が可能になるので。
(編集部)
過去に麻生太郎財務相は、食いたいだけ食って、飲みたいだけ飲んで、糖尿病になって、病院に入っているやつの医療費はオレたちが払っている。公平ではない。無性にハラが立つ、と言っていましたね。
(大脇)
心の狭い発言ですね。私は自分が払った保険料とか税金でいろんな人が楽しくわがままに生きていけるなら嬉しいですけどね。(中略)でも、いま強くなってきているのはまさに、社会に貢献できる人を優先して生きさせようという考え方ですね。だからこそ相模原市の障害者施設殺傷事件が起こったのだと思います。
大脇さんはGo Toに賛成だという。
やり方と時期が妥当だったかはともかく、
「大事なのは感染対策とか自粛の一辺倒に水を差すこと」。
この発言からも、「生活を大切に」への意識がうかがわれる。