2021年03月26日

『ワルキューレ』と『地獄の黙示録』との親和性

ラジオをきいていたら、
ワーグナー作曲『ワルキューレ』がかかった。
映画『地獄の黙示録』でつかわれた曲で、
ヘリコプターのむれが、ベトナム人の村におそいかかる場面と、
なにやら不気味な『ワルキューレ』のリズムがぴったりだった。
映画の印象があまりにもつよいので、『ワルキューレ』をきくと、
ヘリコプター軍団がとんでいるときの音楽にしかきこえない。
あの場面で『ワルキューレ』より効果的な曲はないような気がするし、
あの場面のために『ワルキューレ』がつくられたようにおもえる。
はじめに『ワルキューレ』をきいたのが『地獄の黙示録』だったので、
『ワルキューレ』がヘリコプター軍団にすりこまれてしまった。

『がんばれ!ベアーズ』につかわれた「カルメン」も、
あのだめチームのためにつくられた曲にしかきこえない。
あとで、「カルメン」がクラッシックだとしっておどろいた。
これまた曲と映画がぴったりあっていたので、
わたしにとっての「カルメン」は、ベアーズのためにつくられた曲だ。

『スティング』の『ジ・エンターテイナー』も、
粋でチャーミングな作風とよくあっている。
もしべつの曲がつかわれていたら、
映画の雰囲気がずいぶんかわるだろう。

あたらしく映画用のテーマ曲をつくるのではなく、
まったく別ジャンルから曲をもってくるのがおもしろい。
ヘリコプターに『ワルキューレ』、
ベアーズにカルメンをおもいついたひとは、
それだけで映画の成功を確信したのではないか。

意外性のあるくみあわせが、小説ではよくつかわれる。
たとえば『セーラー服と機関銃』は、女性高校生と暴力団という、
かけはなれたものをくみあわせて成功している。
でも、映画につかう音楽の場合、いくらかけはなれたからといって、
いい効果をだすとはかぎらない。
曲と映画の雰囲気に、親和性があると気づくかどうかだ。
あるものの本質を、音楽によってあぶりだす。
『ワルキューレ』にひそむ暴力性をかんじとり、
カルメンのにぎやかさに、ベアーズの精神をかぎつける。
似顔絵がうまいひとは、映画の場面をいかす、
効果的な音楽をおもいつきやすいかもしれない。

posted by カルピス at 21:50 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする