「プロフェッショナル 仕事の流儀」が
エヴァンゲリオン総監督の庵野秀明さんをとりあげていた。
わたしはエヴァンゲリオンをみたことがなく、
内容についてもまったくしらない。
庵野さんは「ナウシカ」で巨神兵の場面をかいたひと、
そして漫画家の安野モヨコさんの配偶者、
ということだけをしっていた。
安野さんによる漫画、『監督不行届』にでてくる庵野さんは、
仮面ライダーのベルトをあつめていて、おかしばっかりたべて、と
すこしかわったおじさん、くらいにえがかれている。
ただ庵野さんがとるスペシューム光線のポーズが
すごくきまっており、これはそうとうなオタクだとおもった。
番組での庵野さんは、口調はおだやかでも、
とらえどころがなく、変人というか、奇人だった。
エヴァンゲリオンの4作品目にとりくみ、
これでエヴァンゲリオンをおわらせるはずなのに、
スタッフがあつまる合宿や会議で なにもはなさない。
シナリオがあがってこず、ようやくできても、
なんか気にいらないと、時間がないなか、
はじめからつくりなおしたりする。
庵野さんがはなしている内容は、わたしには理解できない。
宮崎駿さんが映画をつくるときのたいへんさを、
長期間の取材で せまった番組を いくつかみたことがある。
こまかなことはわからないまでも、
作品をしあげていくときのくるしみは共感できるし、
宮崎さんがはなす内容もすんなり頭にはいってくる。
でも、庵野さんの場合、なにをしようとしているのか、
わたしにはさっぱりわからない。
スタッフになにをもとめ、どうしてほしいのかも口にしない。
「アングルと編集だけで(アニメも実写も)おもしろくなる」と
延々といろんなアングルをスタッフにためさせ、
自分でもスマホをかまえ、いい角度をさがしはじめる。
まわりのスタッフは、とまどいながらも
庵野さんのおもいつきに ついていかなければならない。
庵野さんは具体的な形がみえているわけではないけど、
表現したいものの方向性について確信がある。
ただ、どうやってそこへたどりつけばいいのがみえてこない。
延々と時間をかけ、自分が納得できるものをおいもとめる。
作品がなんとか完成した。
庵野さんもスタッフも、満足できるしあがりのようだ。
試写会の席でスタッフに
「ありがとうございました」と感謝をつたえ、
でも自分は作品をみないで会場をでてしまう。
いつもみないという。完成したら、
つぎの作品をつくるだけだから。
番組での庵野さんをしるうちに、
『エヴァンゲリオン』をみたくなった。
全4作をはじめからおいかけようという気になる。
庵野さんが命をけずるようにしてつくった作品を、
わたしはどうかんじるだろうか。
わたしがよくきくラジオ番組の
「ラジオマンジャック」(NHK-FM)に、
エヴァンゲリオンでシンジ役をつとめる緒方恵美さんが
月2回、準レギュラーのようなかたちでかかわっている。
エヴァンゲリオンのファンが、
この番組に緒方さんがでているのをしると、
「緒方さん、そんなところでなにやってるんですか?」と
不思議がられるそうだ。
あのシンジ役をえんじるほどのひとが、
番組の企画でアホなことをしているのが意外なのだろう。
番組のメイン担当者である赤坂さんは、
エヴァンゲリオンをまったくしらないので、
緒方さんをいじくってあそぶのだけど、
それがエヴァンゲリオン ファンのひとたちには
神聖さをけがされる気がして、おもしろくないようだ。
赤坂さんたちと、いっしょになってあそぶ緒方さんは
さすがにプロの声優とおもわせる実力を さらっとみせる。