スプレー行為をまったくしなくなったと、
すこしまえの記事にかいた。
去勢手術の効果に、いまさらながらおどろいているわけだけど、
かんがえてみると、ペットだけでなく、
家畜(いやないい方だけど)にも去勢手術をする。
民族学者の梅棹忠夫さんによると、
去勢と乳しぼりという2つの技術により、
人類はあたらしい生活様式である遊牧を手にいれたという。
去勢をしないオスの動物は、おとなになると、
群をはなれて自分の居場所をさがしにでかける。
ひとつの群に何匹ものオスがいると、
どうしてもメスをめぐってあらそいがおき、
安定した集団にまとまらない。
遊牧をしなくても、牛や豚をかうときは、
種をのこすオス以外はぜんぶ去勢する。
とはいえ、人間が自分たちの都合のいいように
あつかうための技術が去勢なのであり、
ペットや家畜以外の動物は、もちろん去勢なんてしない。
おとなになった動物は、なわばりあらそいだったり、
メスをめぐってのケンカだったりを、せずにはおれない。
キズついたり、うえて死んだり、
野生に生きるオスはたいへんだ。
それでも、群からでずにはおれないのがオスの本能で、
それは、種がよりいきのびやすいための知恵なのだろう。
何年かまえにひらかれたサイト「村上さんのところ」で、
オス猫が脱走してかってこない、という相談がのった。
村上さんからの返答は、
その猫くんは去勢してあるのでしょうか? もししていなければ、しばらくは戻ってこないと思います。猫はそのシーズンになると、頭のヒューズがどこかに吹き飛んでしまいます。
だった。
あらゆる動物は、基本的に「そのシーズン」になると、
「頭のヒューズがどこかに吹き飛んで」
しまった状態でくらしている。
いくらそれまで人間となかよくやっていても、
「ヒューズがどこかに吹き飛んで」しまえば、
はなせばわかる かわいい仲間ではなくなる。
そうやって、なわばりあらそいだったり、
メスをめぐってのケンカだったりを、
せずにはおれないのが、去勢してない動物たちだ。
ヒューズがとんだ状態で生きるのは、きっとたいへんだろうけど、
かんがえてみれば、野生動物だけでなく、人間だって去勢をしない。
しないから、ヒューズがとんであらそいがたえないのだろうか。