タレントの高樹リサさんは、
フルマラソンでの4時間ぎり(サブ4)をめざしており、
『ランスマ倶楽部』(NHK-BS)はこれまでになんども
彼女のトレーニングやレースのようすを放送してきた。
先日は、いよいよサブ4の本番として、記録会がおこなわれた。
新型コロナウイルスのため、レースがのきなみ中止になっており、
記録会というかたちでサブ4をめざす、というのはわかる。
でも、高樹さんのサブ4を実現させるために、
ペースメーカーが約10キロごとにかわり、
そのペースメーカーも、高樹さんのしりあいでかため、
はしっている最中に、アドバイスをしたり、
リラックスするようはなしかけたり。
「きれいだよ!」と声援をおくるひともいた。
いったいこの記録会はなんなのだと、
みているうちにしらけてきた。
番組のメンツにかけて、なにがなんでも高樹さんに
サブ4を実現させようと、ありえないサポートだらけなのだ。
これが、人類はじめてであるサブ4をめざし、
一流のスタッフからなるチームをくんで
偉業を達成しようというのならわかる。
でも、あくまでも高樹さんが個人的にめざしていた
ひとつのくぎりとしてのサブ4にすぎず、
それなのに、よってたかって
夢にむかっての困難な挑戦だとあおりたてる。
女性のナレーターが、いかにくるしいチャレンジかと
おもいいれたっぷりで「ものがたり」にしたてようとする。
これはもう 高樹さん個人の記録というよりも、
番組が総力をあげてとりくんだヤラセといってよい。
たしかに高樹さんは自分ではしったわけだけど、
まわりがよってたかってズルするものだから、
せっかくの記録も「なんだかなー」という気になる。
番組のあまえた体質と、こんな記録会をゆるす
陸上界エリートたちがたらす いたい汁に いやけがさした。
いっけん美談にしたてあげられた このなんちゃって記録会は、
チョモランマにのぼるために、専属のガイドをやとい、
頂上までいたりつくせりのサポートをうけ、
登頂がカジュアルなイベントとなっている登山とおなじだ。
高樹さんが、せっかくがんばったサブ4へのチャレンジが、
番組のいやらしさにけがされて、価値をおとしている。
『ランスマ倶楽部』をみるのは もうやめよう。