つよい風のなか、宍道湖岸をレース仲間とはしる。
コースをかえようと、つれが提案するほどすごい風だ。
でも、このコースは風がデフォルトみたいなもので、
風がふくたびに いちいちコースをかえていたら
いつもべつのコースになってしまう。
これまでの経験から、すこしぐらい風がふいていたって、
はしってみればなんとかなるとわかっている。
それに、町のなかをはしった場合、
つよい風がふいていると、なにかがとんできて、
頭にあたったりしたら、大ケガするかもしれない。
宍道湖岸なら、自分のからだが風と勝負するだけだ。
なにかがとんでくる心配はすくない。
けっきょくいつものコースをはしる。
結果的にはたのしいランになったけど、
これまでに1位か2位くらいのつよい風だった。
むかい風のときは、なかなかすすめないし、
おい風のときは、ヨットになったみたいに、
からだじゅうが風をうけて 自然とかけあしになる。
はしりおわると、筋トレのあとみたいなつかれがやってきた。
ゆっくり足をうごかしている場合ではないので、
しぜんとからだじゅうの筋肉をつかったようだ。
あるレベル以上の負荷をからだにかけると、
いつもとはちがう爽快感がおとずれる。
なにかのイベントをやりおえたときみたいだ。
ふたりともハイ状態で、なんだかやたらとたのしかった。
練習がマンネリ化したときは、きょうみたいな、
冗談としかおもえない過酷な状況にあえて身をおくと、
新鮮な気分でトレーニングにとりくめるのに気づいた。
いつもだと、ゆっくりだらだらが基本だとうそぶいて、
自分のからだにあまえているけど、
そんなことをしていたらまえにすすめないので、
どうしても自然にがんばってしまう。
つよい風が適度な刺激となって 非日常をあじわえた。
低気圧が停滞しているために、これからの数日は、
雨と風がつづくと天気予報がいっていた。
雨と風にためらっていたら、練習がはかどらない。
冬の雨とちがい、ぬれたってからだがひえたりはしないので、
よほどのことがなければ、覚悟をきめてはしろうとおもっている。
はりれば、それなりに満足感があじわえる。
はしって後悔したことはない。