サッカー男子、U-24日本対フランス
4−0で日本
1週間まえ、まだ開会式がはじまるまえの7月22日。
おなじグループAにぞくするフランスとメキシコの試合をみて、
そのうまさとはげしさに、このさき日本がむかえる
グループリーグのむつかしさをかんじたものだ。
こんなにつよいチームとおなじグループにはいりながら、
日本は金メダルをめざすというけど、本気なのか。
その日本が、メキシコを2−1でやぶり、そして
フランスをも4−0でしりぞけた。
フランスというと、前回のロシアW杯の優勝国でもあり、
チームがうまくまとまったときのつよさはおりがみつきだ。
ただ、この大会では、メキシコに1−4でやぶれ、
南アフリカには 4−3と、逆転でなんとかここまできた。
日本戦に、2点以上の点差でかたなければ
グループリーグをかちのこれない きびしい状況だ。
前半の20分までは、さすがにフランス、というかんじで、
うまくボールをまわし、日本に攻撃をさせない。
得点がほしいのだから、フランスはせめるしかない。
日本も、ただひいてまもるのではなく、
ポゼッションをたかめ、相手陣内での時間をつくりはじめる。
前半の27分に久保、44分に酒井と、
相手ゴールキーパーがはじいたところに、
ぬけめなく つめていた2人がきめている。
いずれも上田のシュートが起点となった。
3試合目ではじめて先発した上田が 攻撃のリズムをうみだしている。
前半のうちに2点を先取し、日本はいきおいがでてきた。
相手とのちから関係がみえてきて、自信をもってプレーしはじめる。
後半にはいると、フランスはますますせめざるをえない。
しかし、オーバーエイジ枠のジニャックのがんばりが目につくだけで、
ゴールまえにあつくせまるプレーがみられない。
そのうちに、三好が3点目をあげ、フランスはこころがおれたようだ。
コロムアニが三好のひざしたをふみつけ、
レッドカードにより退場となっている。
試合開始から、フランスはエラーをアピールすることばかりに熱心で、
日本選手のなにげないプレーに、おおげさな反応でたおれこむ。
そのくせ自分たちは、あいての足をふみつけることに余念がなく、
強豪国としての尊厳が みじんもかんじられない
2流のチームになりさがっていた。
それにしても、たとえU-24とはいえ、フランスをあいてに
4−0で日本がかてるようになったとは、感慨ぶかい。
トルシエ監督の時代にフランス代表と練習試合をしたとき、
どろだらけのあれたピッチコンディションということもわざわいし、
日本は0−5の完敗にくっした。
まともにはしり、ボールをあつかえたのは、
中田英寿だけ、というなさけない試合だった。
まさに、おとなとこどもの差が 両国にはあった。
あれから幾星霜。
こんかいの試合では、フランスにまったくいい場面をつくらせず、
完璧にふうじこんだ。4−0という結果と、その内容も、
日本にとって最高の試合だったといえる。
こんかいのフランスチームは、クラブが選手をだしたがらず、
おもうような選手構成ができなかったときく。
日本にもおなじ問題があるとはいえ、国内チームにかぎれば、
オリンピックがすきな日本は、まだ選手の選出に理解がある。
いったい、オリンピックにおける男子サッカーとはなにかと、
根源的な疑問をいだかざるをえない。
ユーロや南米選手権がおわったばかりで、
やれやれと気もちがきれている各国代表の選手たち。
7月の大会という あつさのなかで、中2日という過酷なスケジュール。
おまけに新型コロナウイルスの感染拡大で、
選手と関係者全員が、試合に集中できる環境にない。
おおくの選手にとって、まるでバツゲームみたいな大会が
オリンピックの男子サッカーなのでは。
それにしても、よわいときのフランスは、
いつもこんなかんじでグループリーグをかちあがれない。
W杯南アフリカ大会では、選手と監督との対立など、
チームがバラバラになり、とても試合にのぞめる状況ではなかった。
こんかいもまた、フランスは、フランスらしくやぶれたともいえる。