2022年01月31日

『狩られる者たち』ややこしいけど猛烈なおもしろさ

『狩られる者たち』
(アルネ=ダール・田口俊樹・矢島真里:訳・小学館文庫)

『狩られる者たち』をよみおえる。
ややこしく、いりくんだはなしで、
なんどもページをさかのぼってよみかえさなくてはならず、
お酒のせいもあって なかなかさきへすすまない。
めんどくさくなってなげだすか、というわけではなく、
妙にひっかかるものがあり、なんとか作者のかたりについていく。
序盤をすぎると、複雑怪奇なできごとにこころをうばわれ、
すっかりダールの独特な世界にはまっている。
どうやらこの作品には、前編となるもう一冊があり、
それにも目をくばる必要がありそうだ。

『狩られる者たち』をよみおえると、
すぐに前編である『時計仕掛けの歪んだ罠』をよみたくなる。
かいにゆくのをつぎの休日にすると、
そのあいだにべつの本をよみはじめてしまう。
できれば、というか、どうしても
ダールの作品をつづけてよみたかった。
夜の9時半に、きゅうにおもいたって本屋さんへゆく。
ふだんは夕ごはんのあと家をでたりしないけど、
夜10時までひらいている本屋さんがちかくにあるのだから、
お世話にならない手はない。

夜の本屋さんは、ひるまとはまたちがったいい雰囲気だった。
お客さんがすくなく、店員さんもどことなくのんびりした表情だ。
海外ミステリーの棚をのぞくと、
さいわい『時計仕掛けの歪んだ罠』がならんでいた。
たのしみにしていたピーター=スワンソンの邦訳3冊目である
『アリスが語らないこと』も目についたのでかっておいた。
夢中になれるミステリーが手もとにあるのは とてもしあわせだ。

posted by カルピス at 21:33 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月17日

ものすごく緊張するPCR検査

島根県でも新型コロナウイルスの感染がひろがり、
新規感染者が いちにちに100人をこえる日さえではじめた。
こんなときに、島根県内とはいえ、
2泊3日の旅行にでかけたわたしは、
なんだかコロナウィルスがうようよただよっているなかを、
わざわざリスクをおかし、不要不急にうろついたような気がする。
10日ぶりに職場に顔をだし、もしも感染をもちこんだりしたら大変だ。
家にPCR検査のキットがあったので、
出勤するまえに、陰性をたしかめておこうとおもった。

と、いかにも職場にたいして誠実なようにかいたけど、
いざ検査のキットをひらいてみると、びびってきた。
感染なんてありえない、とおもうものの、
もし陽性であると 判定されたらどうしよう。
これが、インフルエンザの検査なら、
陽性でも、まあしかたないな、ですむけれど、
コロナウィルスの場合は、比較にならないほど おおごととなる。
かなりのプレッシャーのなかおもい腰をあげ、
キットにはいっている紙コップにツバをためこみ、
何回かにわけ スポイトですいとろうとした。
でも、ツバなんて、そう大量にでるものではなく、
おもうようには、なかなか量がたまらない。
それに、スポイトでとるとき、気泡がはいらないように、
なんて注意がきがあるけど、どうしても空気がはいってしまう。

それでもなんとか一定量のツバをあつめ、検査液をたらす。
20回ほど回転させてから、検査の板のうえに2滴たらした。
全体がむらさき色になり、はっきりした線をつくらない。
やり方が雑すぎて、失敗したのだろうか。
10分ほどで結果がでます、ということなので、しばらくほっておく。
さいわい、しばらくすると、くっきり1本の線がうかびあがる。
これが2本だと陽性だけど、1本なら陰性。
よかった。感染していなかった。あたりまえのことなのに、
あたりまえの結果をえるために、こんなに緊張するものなのか。
健康診断でなにかの項目でひっかかり、
あとからくわしく再検査して、その結果をまつときも、
こんなふうに いやな緊張をしいられるのだろう。
プロスポーツ選手などは、日常的にPCR検査をしているようで、
こんな緊張をなんども味わっているにちがいない。
心臓にかなり負担となる PCR初体験だった。

(追記)
わたしがおこなったのは抗原検査で、
PCR検査ではなかったことがあとからわかった。
でもまあ、緊張することにかわりはないはず。

posted by カルピス at 21:42 | Comment(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月16日

「下着の捨てどき」が気になる

『下着の捨てどき』(平松洋子・文春文庫)

タイトルにひかれた。
わたしの好奇心が、というより スケベごころが
ついタイトルだけでこの本をえらんでしまったけど、
ひとりの女性が、どういう基準で下着をすてるのか、
おとこだったら とても気になるのではないか。
女性は、いったいどういうときに、
これまでつかってきた下着をすてようときめるのか。

平松さんにとっての、下着をすてようときめる瞬間は、
捨てどきかな?と頭を掠めたとき

なのだそうで、おおくの場合、
下着がゆるくなったとかんじはじめると、
すてる日がちかいようだ。
そういわれると、あたりまえのようにおもいがちだけど、
「捨てどきがむつかしいのは、自分を問われているから」
と平松さんは分析しており、なるほどな、とおもう。

自分のことでいうと、わたしはパンツをきっぱりすてられない。
もうすこしはけそうな気がして、
洗濯機にいれ、よごれがめだったり、
かなりゆるくなってから、ようやくすてる決心がつく。
もうひとつ、これまでなんどもかいてきたけど、
ズボンのことをパンツといわず、
下着のパンツを ちゃんとパンツという女性がすきだ。
酒井順子さんみたいに。

posted by カルピス at 21:34 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月12日

温泉津温泉の旅館にとまる

温泉津温泉の旅館にきている。
温泉津とかいて「ゆのつ」とよむ。
「We Love 山陰」という企画で、
山陰にすむひとが山陰の旅館にとまると
5000円の補助をうけられる。
島根にすむものが、おなじ島根県を旅行して
たのしいか、というと微妙なところだけど、
旅館にとまる、というのは、あたりまえのようでいて、
じっさいにはなかなか体験できない。
中学や高校のとき、水泳の大会でとまったのが
旅館をつかったさいごではないか。
だとしたら、おとなになってはじめての旅館にとまる旅行だ。

きょうお世話になった旅館は、ネットでさがした。
レビューをみると、建物はふるいけど、よかった、
という内容のものがおおい。
かなりふるい旅館を予想して温泉津の温泉街をたずねると、
おもっていたよりずっときれいな建物だった。
とおされた8畳の部屋も、「ザ・旅館」というかんじで、
すっかりうれしくなる。
bTKKyicGyno1kF-G1eBZIPjXocQwncXhKgdHOFnU0DLuC93GZsJZ6L1abu8otluQBfBwJxOESdyw5_0Uf1sFo7aUq9QRNDU40kVOQkmPP8tWGMJTK4VnuAsaQ-RdT2YTBz4z-WOUkIepchTeruXvppeyi2V_rExLzERjIKLFFAfxBEBp2-IL3CiQ_79WMgMQ1_xI.jpg
すこし外を散歩してからお風呂にはいる。そして夕ごはん。
はじめにもってこられた料理をみたとき、
これはたりなにのでは、と心配したけど、
そのあと4品とおしる、さいごにデザートまでもってこられ、
完全に満腹となる。旅館での夜は、ホテルとはちがったよさがある。

posted by カルピス at 20:06 | Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月08日

「お正月」をなんとかきりぬけてほっとする

いつまでがお正月か?
6日ごろからすでに正月らしさはないけど、
決定的にお正月らしさがなくなるのは8日だ。
きょうはその8日。わたしが苦手なお正月を、
なんとか今年もぶじにきりぬけた。
年末からやすんでいた朝日新聞の土曜日版beが
きょうからまた再開し、新聞の記事も、
「正月」からあきらかに距離をおいている。
ラジオ番組も、いつものようにながれだした。
日常をようやくとりもどしたようで やれやれだ。

きょねんの日記帳をひっぱりだすと、
おおみそから年あけの3日まで、
わたしはだいたいおなじようなことをしている。
「年こしラジオマンジャック」をラジオできき、
元旦からジョギングにでかける。
そういえば、ことしは元旦にイオンでかいものをした。
冷蔵庫に食材があるので、
わざわざイオンへいく必要はなかったけど、
元旦もひらいているお店をみたかったから。
まえは、正月くらいやすめばいいのに、と
えらそーなことをいっていたけど、
元旦のイオンはまったくいつもとおなじ雰囲気で、
いつもとおなじ店内に、いつもとおなじ商品がならび、
いつもとおなじようにお客さんが棚をみている。
世間がお正月一色になっているときに、
イオンはまったくの日常をたもっていて、
まるでパラレルワールドにきたみたいでおもしろい。
レトルトのハンバーグをかい、家にもってかえって
食パン(の耳)にはさんでたべた。
なぜかハンバーガーがたべたかったのだ。
苦手意識からか、正月を、
わたしがかってに意識しすぎているので、
よけいにへんなお正月になってしまった。

posted by カルピス at 20:39 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月01日

『フリーダム・ライターズ』すさまじい環境で生きる生徒たちが、自分をとりもどしてゆく変化が圧巻

『フリーダム・ライターズ』
(リチャード=ラグラヴェネーズ:監督・2007年・アメリカ)

すばらしくて、みおわったあと、しばらくうごけない。
主演は『ミリオンダラー・ベイビー』のヒラリー=スワンク。
ダメなやつら、ときめつけられたクラスを、
ひとりの熱心な先生が中心となって、
たてなおしていく作品はいくつもあるけど、
『フリーダム・ライターズ』は圧倒的なリアリティーが胸をうつ。

ロサンゼルス郊外にある公立高校で、
新人教師のエレンが203教室をうけもつことになる。
当時のロサンゼルスは、人種差別による暴動が日常的におこり、
人種ごとの対立が高校にまでもちこまれ、クラスはあれはてていた。
生徒たちは、それぞれがすさまじい環境のもとで生きている。
ともだちや家族がころされた体験を、ほとんどの生徒がもっており、
だれも高校での教育なんかに期待してない。
クラスは人種ごとにグループがはっきりわかれ、
おたがいがにくしみあっており、
おだやかに授業ができる状況ではない。
エレンはそんな彼らの体験をしると、
国語の授業だけではどうにもならないとかんがえる。
日記をかくよう提案したり、社会見学にでかけたり、
生徒たちが自分の身のまわりだけでなく、
ひろく社会でおきていることに関心をもつようみちびいてゆく。

はじめ生徒たちは、白人であるエレンへにたいし、
不信感にみちており、なにも期待していない。
エレンの誠実さが、すこしずつ生徒たちのかたいこころをひらき、
やがてクラスを家族とまで生徒たちがいうようになる。
それまで自分を尊重されたことのなかった生徒たちが、
しだいにおたがいをうけいれていく変化が圧巻だ。
自分でかんがえるちからを生徒たちはつちかい、
エレンはすこしずつ彼らから信頼をよせられるようになる。
生徒たちがかいた日記は、まとめられて一冊の本になり、
おおくの203教室をうみだすように、
「フリーダム・ライターズ基金」が設立されたという。

posted by カルピス at 18:24 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする