『百年の孤独』ガブリエル=ガルシア=マルケス
鼓直(つづみただし):訳・新潮文庫
有名な本なので、タイトルは20代のころからしっていた。
じっさいによんだひとの感想をきいたことはなく、
南米の作家はなんとなく距離をかんじてしまい、
手にとることのないまま40年がすぎた。
ただ、『カラマーゾフの兄弟』とおなじように、
必読書として、いつかよみたいとおもっていた。
その本がやっと文庫になるという。
この機会に、ノルマをこなしておこうか。
本屋さんにいくと、平台に数冊がそっとおいてあった。
それほど宣伝にちからをいれているふうではない。
どんなうれゆきなのか、気になるところだ。
南米にあるマコンドというちいさな村を舞台に、
ブエンディア家の100年がえがかれている。
660ページと、すこしながいとはいえ、
ミステリーではあたりまえのボリュームなのに、
なかなか読書がはかどらない。
二週間ほどかけてようやくよみおえた。
けしておもしろくないわけではなけど、
なにしろ、おなじような名前がなんどもでてくるのだ。
登場人物のエネルギーと性欲がものすごく、
かんたんにちかしい家系のひととねてしまい、
できた子どもにアルカディオとかアウレリャノとか、
にたような名前をつけていく。
家系図がついているけど、名前がおなじだったり、
よくにてたりして、だれがだれなのかすぐわからなくなる。
なんど家系図をふりかえり、たしかめたことだろう。
たしかにわたしは『百年の孤独』をよみおえた。
ただ、どれだけこの本の魅力にひたれたかは
はなはだこころもとない。
南米特有の情念のすごさに圧倒された読書だった。