2011年11月21日

『わたしを離さないで』(カズオ=イシグロ・ハヤカワ文庫)

はじめてよむカズオ=イシグロの本だ。
SFかとおもってよんでいると、
なんだかふつうの寄宿舎生活のはなしみたいだ。
とても丁寧な描写で、おそらく訳もいいのだろう、
よんでいて気もちがいい。
安心してよみすすめるうちに、
作者のリズムにだんだんとはまりこんでいく。
いい読書となりそうな予感が
よみはじめたときからあった。

ものがたりはしずかにすすみ、
すこしずつ「介護人」とか「提供」とか、
意味はわかるけど、
どうもそれだけではなさそうな、
キーとなることばがでてくる。
「ポシブル」や「猶予」などの単語にだんだん読者をなじませていき、
いつのまにか小説の世界に
どっぷりはまっていることに気づかされるのだ。

さいごのほうになって、寄宿舎のヘールシャムの存在理由や、
まったく予想してなかったこの世界のなりたちがあかされる。
どこへもいき場のない閉塞感がただよう
不思議な、そしてとてもかなしいはなしだった。

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posted by カルピス at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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