『2012年おすすめ文庫王国』の国内ミステリー部門で
1位となった作品だ。
1位といっても、いくつかのジャンルにわかれて
(「時代小説」とか「恋愛小説」とか)
担当者が自分ひとりでベスト10をきめるのだから、
そうおおさわぎするほどのことではないとおもうが、
帯に
「おすすめ文庫王国」2012国内ミステリー部門
ダントツの第1位
とかかれるとなんだか説得力がある。
宇田川拓也氏がつよくおすだけあって
たしかにうまい短編集だ。
ただ、短編ミステリーという性格から、
はなしのなかでかたられることすべてが
ものがたりの伏線となっており、
それがあまりきわだつと
みじかいページにたくさんつめこみすぎた
きゅうくつさをかんじてしまう。
さりげなくかいてある状況説明について、
どうせこれがさいごには意味をもってくるんだろ、と
うたぐってよんでしまうので
ものがたりの世界にここちよくひたることができなかった。
また、4つの短編のうち、「迷走」と「899」には
技巧をこらしすぎた「ありえなさ」をかんじた。
救急隊や消防の担当者が、
そんなリスクをおかしてまで
わずかな可能性にかけるだろうか。
東野圭吾の『容疑者Xの献身』についても
おなじような感想をもったので、
リアリティを重視するわたしは、
トリックをあつかった小説にむいてないのかもしれない。
おもしろくよめたけど、
この手の本にはとうぶん手をださないだろう。
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