『野宿入門』の作者による2作目だ。
なにかに連載されたものを本にまとめたもので、
野宿のたのしさをつたえてくれるものの、
前作ほどのインパクトはない。
ないけれど、かとうさんの魅力がよくつたわってきて、
自分でも野宿をしたくなってくる。
おもしろかったのは、高校3年生の夏やすみに
日本縦断をしようと
青森から下関をめざしてあるいたはなしだ。
和歌山県までたとりついたところで8月31日になった。
「下関までゆこうとしたら、
一日十時間歩いたって、あと一週間かかるだろう。
『もうしようがない、あきらめよう』
と、わたしは思った。
『学校のことはあきらめよう!』」
そして、ほんとうに10日かけて下関まであるいてしまった。
かとうさんのたのしさは、
日本縦断をめざしてはいても
悲壮感などぜんぜんないところだ。
あるいて野宿して、をくりかえせば、
いつかは下関につくだろう、というゆるさがスバラシイ。
高野秀行さん的なまちがう力全開ともいえる。
いろいろなものから自由でいられるかとうさんが
わたしはだいすきなのだ。
わたしは『野宿入門』に影響をうけて、
2回ほど野宿をした。
1度目は、福井県の美浜町で(たしか)、
公園の東屋に寝袋をしいてねた。
6月だったので、あついし蚊はいるし、
夕ご飯をたべるとすることがないし、
夜でもけっこうひとのでいりがあって
ゆっくりできなかったりで、
正直いってそんなにたのしい体験ではなかった。
あついのもさむいのも、
蚊がいるのも、お風呂にはいれないのも苦手なわたしにとって、
野宿とか、あてもなくさまようことにむいていないのかもしれない。
2度目はバンコクの空港で、
早朝のチェンマイゆきの飛行機にのるため
出発ターミナルでねたことだ。
たてもののなかなので、
正確には野宿とはいえないだろう。
ここもひとのうごきがおおく
荷物の心配もあったし、
そういう場所で堂々とマットと寝袋をひろげるのは
もうしわけないかんじだった。
そうしたことすべてをふくめて
かとうさんは「野宿がおもしろくてたまらない」という。
なんだかんだと物質にたよって快適にすごそうとするわたしは
われながら不自由に生きているとおもう。
いろんなものにとらわれないためには、
野宿をくりかえしてスキルをたかめるのことが
いちばん効果的な処方箋みたいだ。
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