今朝の朝日新聞がつたえている。
在住20年になる日本人女性がひらいたお店なのだという。
うちにいるチャコそっくりなトラネコを、
お客の女性がなでている写真がのっていた。
「50席の店内で5匹の猫が思い思いに過ごす。
床に寝転がったり、客のひざの上に飛び乗ったり」
ということで、ネコとのコミュニケーションをもとめるひとは
日本だけでなくどこにでもいるようだ。
気になることがいくつかある。
スタッフとして店にいるネコたちは、
どういう経緯で採用されるのだろう。
ウィーンの店のネコたちは、
「地元の動物愛護協会で保護する数百匹の中から、
特に人なつこい猫を譲り受けた」
とある。
日本ではどうなのだろう。
ネコカフェは日本に150店あるそうなので、
すでにシステムがととのっているにちがいない。
目ききのスカウトがいて、
かわいいネコのいる家をたずね「商談」がおこなわれてたりして。
お店にかよう(あるいは「すむ」)ネコたちが、
同僚とうまくやっていけるかも心配だ。
わたしがもしネコカフェにはいったら、
ネコの気をひこうとサービスにつとめ
とてものんびりなんかしていられないだろう。
よくいくカフェにたまたまネコがいた、
という状況ならそう逆上しないだろうに、
これからネコカフェにいく、と
かんがえただけでそわそわしてしまう。
そうした客の気もちはほっといて、
ネコたちは気ままにふるまうのだろうか。
ひとの気もちはともかく、ネコのもとめることが
わたしはかなりわかるほうで、
自慢ではないが(自慢だけど)、
何日かまえにあるいてかいものにいくとちゅう、
ぜんぜんしらないネコによびとめられた。
玄関先にすわったそのネコは、
わたしにむかって「ニャゴニャゴ」はなしかけ、
自分のほうにくるようもとめる。
おなかがすいているのかとおもったけど、
毛の色つやはよく、ぜんぜんやせてなんかいない。
ひとなつっこいというか、あまえんぼうというか、
わたしの手をあまがみしたり、
ゴロンとよこになっておなかをなでるようにさそったりする。
いっしょにいるだけでゴロゴロとノドをならし、気もちよさそにしてくれる。
ついにネコによびとめられるようになったか、と感慨ぶかく、
正直いってうれしかった。
カフェではなく、大使館にいたネコについて。
アルジェリアのビザをとろうと、
モロッコにあるアルジェリア大使館をたずねると、
そこにはすごくたくさんのネコがくつろいでいた。
机のうえにだらしなくねそべっているネコもいて、
職員のひとは書類をひろげることができない。
これはさすがにおこっておいだすのではないか、とみていたら
めんどくさそうにネコをむこうがわにおしやって(ネコはねころがったまま)
そのまま仕事をつづけていた。
あとで「斎藤夫妻」の漫画『バックパッカー・パラダイス』をみると、
アルジェリア大使館でのまったくおなじ体験がかいてあった。
月日がたっても、かわらないことはかわらない。
大使館がそうだから、アルジェリア本国でも当然ネコたちの地位はたかい。
まともなホテルがそこしかなかったので
しかたなく5つ星のホテルにとまると、
ロビーにおいてある植木の鉢でネコが堂々とおしっこをしていた。
注意するひとはだれもいない。
あの大使館にしてこの国あり。
みごとにネコの自由が保障されている、
ネコ天国の国だった。
わたしが以前つとめていた施設には
何匹かのネコがすみついていた。
全盛期(といっていいのか)には5匹いて、
視線をうつすたびにネコが目にはいってくるので
見学におとずれたひとたちに
「ずいぶんたくさんネコがいますね」と
ほめられた(たぶん)ことがある。
あのままネコたちにいごこちよくすごしてもらえたら、
そっちのほうで有名な施設になっていたのだろう。
いまはむかしのはなしだ。
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