毎月第2土曜日におこなわれる「名画上映会」にでかけた。
『初恋のきた道』のチャン=イーモウ監督の作品だ。
文化大革命下の中国が舞台の恋愛映画。
町からやってきたわかい2人が農村でであい、恋におちる。
党にしられぬようひとめに気をつけ、
親に反対されながらもじわじわと愛をあたためる。
しかしなんということか、男は白血病に。
あらすじをかいていると、
はずかしくなってくるようなベタなストーリーなことに気づく。
実話がしたじきということで、
そうでなければありきたりすぎて、
企画の段階で却下されそうだ。
でも、そのベタさがぜんぜん気にならないのだから、
チャン=イーモウ監督の演出がすぐれているのだろう。
主役のジンチュウがとにかく初々しい。
手をつなぐのもはずかしくて、
木の枝をかいしてつながっていたのに、
自分から相手の手をもとめたり、
病院へおみまいにたずねとき、
規則だからとおいだされても、
門のところで一夜をあかしたり。
相手をおもうつよい気もちが
みかけによらぬ行動力をうみだしていく。
自分のことよりも相手をつよくおもう気もちが愛だ、
なんてことを、映画ではひさしぶりにかんじた。
わたしはこういう愛によわく、
イチコロで感情移入してしまう。
自分でもそうしたいし、そうされたいという中年男のねがいが
このさきかなうことがあるだろうか。
ドルトムントの香川によくにた相手役、スンの演技もいやみがない。
ジンチュウのお母さん役もすごくリアルだったし、
でてくる子どもたちのふるまいも自然で、演技にみえない。
これはほかの中国映画をみていてもかんじることで、
役者のちからをひきだすうまさについては、
中国映画のレベルはかなりたかいのではないか。
毎月の名画上映会には、
よほど自分にあわないとおもわれる作品以外
だいたいでかけている。
きいたこともないタイトルの作品に2時間をあけ、
日常からはなれて劇場の椅子にすわるのは、
できそうでいて、なかなかできないありがたい時間だ。
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