ぜんぜんわらわずに、
かたい殻をかぶって自分をまもっているつぐみが
すこしずつかわっていくものがたり。
作者のあとがきがいい。
「孤独な女の子が描きたかったのです。
ちょっと傷を抱えた、
まわりになじめなくて
いつもひとりでいる女の子」
この「女の子」(つぐみ)が作者の手をはなれて
ひとをすきになり、笑顔をうかべられるようになる。
「はじめてのストーリーものの連載は、
手探りでしたが、
お話を考えるのが
楽しくてしょうがなかったです」
「楽しくてしょうがなかった」という時間をもち、
ひとつの作品にしあげることができた冬川さんの
充実感をおもう。
自分のちからをだしきり、
自分のやりたい表現方法で、
ひとつの世界をつくっていくのは
どれだけしあわせな体験だったことだろう。
作中の人物が自由にうごきはじめ、
つぐみも、まわりのひとたちも、
すこしずつかわっていく。
「ひとりきりの居場所」をつくるつもりで
美大にはいったつぐみは、
「いつの間にか わたしの世界は
色で溢れていた」ことをしる。
つぐみはなぜかわることができたのだろう。
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