2012年06月19日

『ラヂオの時間』(三谷幸喜)ま、いいか、の世界観がここちいい

『ラヂオの時間』(1997年・三谷幸喜監督作品)

山田洋次がえらんだ「日本映画の100本シリーズ」として
『ラヂオの時間』をとりあげていた。

出演者がわがままいいほうだいに
台本のかきかえを要求し、
都合のわるいところを修正していくうちに
めちゃくちゃなはなしになってくる。
台本では熱海のパチンコ屋ではたらくリツコのはずが
ニューヨークの弁護士メアリー=ジェーンに、
漁師の虎造がパイロットのドナルド=マクドナルドに、というぐあい。
どこかをいじるたびに、
その無理がほかの箇所に影響をあたえ、
それをまたつくろわなければならなくなる。

飛行機が行方不明になったことにすると、
スポンサーからすぐにクレームがきた。
飛行機でなきゃいいんだろう、
というむりやりのこちつけで
ロケットだったことにしてしまうとか、
生放送なのでスタジオじゅうがめちゃくちゃになっていく。
わがままをいいあい、本音をぶつけ、
ドタバタつじつまをあわせるうちに
だんだんと番組の完成にむけて関係者が
気もちをあわせるようになる。
その場しのぎのごまかし、つくろいをかさね、
なんとかぶじにおわりまでたどりつくと、
出演者全員がすがすがしい笑顔をみせる。

信念をまげてごりおしをゆるすと
ろくなことがない、といっているのか、
初期設定をへたにいじるとたいへんだけど、
最終的におもしろくなればいいじゃないか、
といっているのか。
教訓があるようでないようなすばらしい作品だ。

気のきいたセリフは、
こんどこまったことがあったら
2どとよばないよ。

「(続編では)ハインリッヒが
メアリー=ジェーンにあいにくることにしたら?」
「ハインリッヒは
ミシガン湖に車でつっこんじゃったよ」
「水陸両用車ってことにしよう。
陸上専用車とはいってなかった」

もうめちゃくちゃだ。
とりあえずつながればいいという
テキトーさがここちよかった。

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posted by カルピス at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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