角田光代のエッセイ集。
この本では、角田光代が日ごろ気にしている日常の茶飯事を
読者にかたりかける。
題がいつも
「あなたのおうちは散らかっている?」
「今日のお昼、何食べた?」
というスタイルになっていて、
読者に質問をなげかけるまえには、
自分の生活や体験がかくさずに(たぶん)かいてある。
「あなたのおうちは散らかっている?」のときには
いかに自分の仕事部屋がちらかっていて、
その解決のために仕事場をあたらしくかりたことや、
「今日のお昼、何食べた?」では
その仕事場で、昼ごはんをどうとっているかの報告と感想がかたられる。
角田光代のファンでなければ、どうでもいいようなはなしとはいえ、
エッセイにでてくる角田光代が
あまりにも「ふつうのひと」で、
自分のおろかさを全面にだして日常生活をかたるので、
よんでいる側は角田光代がさしだす
「どうでもいいけどちょっと気になる話題」に
安心して身をまかせ、あたまをやすませることができる。
じょうずにこちらの関心をひく題がつけられていて、
よみだすとなかなかおわれない。
「あなたの真理はなんですか?」
「聞き耳たてることありますか?」
「できないこととできることはなんですか?」
なんてかいてあると、なんだかすごくおもしろそうなので、
つい反応してページをめくってしまう。
じつは、よんでみると、わりとあたりまえのことがかいてあり、
「なーんだ」ということになるのだけど、
つぎの題もまたおもしろそうなので、
どうしてもまたページをめくってしまう、
ということがつづいてしまうのだ。
質問すればいいというものではなく、
こちらのふところにはいるのが角田光代はうまいのだろう。
「あなたは角田光代のエッセイをよんだことがありますか?」
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