2012年06月26日

おもしろいけど、英語は興ざめ『ジャッカルの日』

『ジャッカルの日』(1973年・アメリカ)

とりためていた映画のなかから『ジャッカルの日』をみる。
ド=ゴールを暗殺するためにやとわれたジャッカル(コードネーム)が
慎重に準備をかさね(偽のパスポートだけでも3つ用意している)、
厳重な警備をかいくぐってフランスに潜入する。
ジャッカルのうごきをかぎつけたフランス当局は、
ベテラン警視のルペルに全権をあずけ、
総力をあげて暗殺をふせごうとする。
当時はもちろんコンピューターなどなく、
うたがわしい人物の調査などは
全部ひとの手ですすめるしかない。
どれだけのひとが入国したか、
パスポートをなくしたひとはだれか、など
いまだったらパソコンですぐに検索できることを、
時間をかけてひとつひとつ確認していく。
ルベル警視はかすかな手がかりをみのがさず、
ちゃくじつにジャッカルをおいこんでいく。
プロフェッショナル同士のかけひきが、
この作品をスリリングなものにしている。

中学校のときの同級生が
この作品と『ダラスの暑い日』を比較した作文をかき、
それがなにかの賞をとって会報に全文が紹介された。
おなじ暗殺をあつかった作品でありながら、
いっぽうは超大作、もういっぽうの『ジャッカルの日』は
B級作品としてつくられていること。
しかし、作品としては無名の役者をつかった
『ジャッカルの日』のほうがよくできており、
フレッド=ジンネマン監督ならではの演出がみごとだ、など。

007やチャップリンくらいしか
洋画をみたことがなかったわたしには、
中学生ながら映画を論評する同級生が
すごくかっこよくおもえた。
背のびをして映画の話題についていこうと
『ダグラスの暑い日』なんていってしまい
「『ダグラス』じゃなくて『ダラス」』」(テキサスの町の名前)、
と訂正された。

『ジャッカルの日』の魅力のひとつは
ヨーロッパのふるい町なみと、
そこをはしっている自動車だ。
当時の政府高官は、高級車としてシトロエンDSをつかっていたようで、
官邸にはナメクジみたいなシトロエンDSずらっとならんでいる。
サスペンションがよくきいていて(ききすぎて)、
なんだかソファにタイヤをつけてるみたいなはしりだ。
フィアットやシトロエン2cvなど、
ルパン三世(旧)でおなじみの車もヨタヨタはしる。
ジャッカルがのっていたのはしろのアルファロメオで、
町の景色にぴったりだった。

ジャッカルは解放記念式典を決行の日ときめる。
式がすすみ、警備の緊張がとぎれるころ、
傷痍軍人に変装したジャッカルは
たちいり禁止地区にはいりこみ、
狙撃しやすい場所を確保する。
ド=ゴールの頭に照準をあわせ、ひき金をひく・・・。

興ざめなのは、ハリウッド映画なので例によって
役者がみんな英語をはなしていることだ。
フランスが舞台で、登場人物のおおくがフランス人なのに、
どうしてこういうことになるのだろう。
外国を舞台にした映画で
自分の国のことばをはなさせようとするのは
アメリカ人くらいじゃないだろうか。

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posted by カルピス at 22:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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