2012年06月28日

『フットボールネーション』(大武ユキ)草サッカーチームが天皇杯で優勝したら

『フットボールネーション』(大武ユキ・小学館)

無名の草サッカーチームが
天皇杯で優勝したら。
だれでもおもいつくが、
あまりにもありえないことなので、
リアリティをもたせるのがむつかしい。

サッカーはJ1リーグを頂点に、
こまかなカテゴリーからなるピラミッドがつくられていて、
ひとつうえにあがるのもたいへんな構造になっている。
しかし天皇杯はオープントーナメントの特殊な大会だ。
高校生のチームがJ1に所属するプロのチームとたたかうことも
大会規定上はありえる。

海外でもプレーした経験をもつ元プロ選手の高橋が、
東京都社会人リーグ3部の「東京クルセイド」をひきいて
天皇杯の優勝をめざす。
目的は、日本のサッカーをかえ、
ほんとうの意味での「フットボールネーション」
(サッカー先進国)にするためだ。

草サッカーチームをどうやって天皇杯優勝までもっていくか。
「東京クルセイド」の監督、高橋は、
「脚のきれいな選手求む」という応募条件で選考会をひらく。
「脚のきれいな選手」は、ももの裏(ハムストリング)が
発達しているから脚がすっきりみえるのであり、
ももの裏をつかっているということは、
インナーマッスルがきたえられており、
体幹がつよい、というのがその理由だ。

野球だったら、とびぬけたちからをもつバッテリーと、
中心となるなんにんかの選手がいたら、
そこそこの活躍はできるだろう。
でも、サッカーでは11人がそれぞれに機能しないようなチームが
天皇杯をかちすすむことはありえない。
「東京クルセイド」は、それなりに経験をつんだ、
そしてわかい選手(22歳以下)をあつめる。
そこに中心となる天才プレーヤーをくわえて・・・と、
だんだん脇がかためられて「ありえる」はなしになってきた。
もっとも、サッカーをやってるひとにとったら、
あいかわらず荒唐無稽の夢ものがたりなのだろう。
これからさきの展開がたのしみだ。

いまは3巻まで出版されており、
「東京クルセイド」は東京代表となって
天皇杯の2回戦で埼玉県代表チームと対戦している。
おそらくこのままかちすすんで、
「東京クルセイド」はJ1のチームと対戦していくのだろう。
「ももの裏」ではなく、「ももの表」が発達した選手のおおいJ1のチームに、
「東京クルセイド」のサッカーがどれだけ通用するのか。
日本が真のフットボールネーションになるときがくるのだろうか。

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posted by カルピス at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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