2012年09月02日

「スローバラード」わるい予感のかけらもなかった頃

角田光代の『これからはあるくのだ』(文春文庫)をよんでいたら、
「わたしの好きな歌」としてRCサクセションの
「スローバラード」のことがいきなりかかれていた。
角田さんはこの曲をきくとなきそうになるので、
しばらくおちついてきけなかったそうだ。
わたしはこの歌が世界でいちばんのラブソングだとおもっていて、
この文をよむとうれしくなり、おかわりのお酒をつくって
「スローバラード」をきいた。

作詞・作曲 忌野清志郎&みかん

昨日はクルマの中で寝た
あの娘と手をつないで
市営グランドの駐車場
二人で毛布にくるまって

カーラジオから スローバラード
夜霧が窓をつつんで
悪い予感のかけらもないさ
あの娘のねごとを聞いたよ
ほんとさ確かに聞いたんだ

カーラジオから スローバラード
夜霧が窓をつつんで
悪い予感のかけらもないさ
ぼくら夢を見たのさ
とってもよく似た夢を

曲のなかで、いっしょに毛布にくるまっていたのは
共作者の「みかん」さんだ。
八王子のモーテルにいくとちゅうパンクしたため、
いっしょに車のなかで夜をすごしたという。
わたしもこうやってだれかと毛布にくるまりたかったけれど、
いまのところそのチャンスにめぐまれていない。
もっとも、わかものがするから「スローバラード」なのであって、
おじさんがするとへんにナマナマしくてきまらない。

角田光代もおなじことをかんがえたそうだ。

「好きなひとができたら、
絶対車の中で毛布にくるまって寝よう」

じっさいに実行されることはなかったが、
いまでも「この歌のよさをわかってくれるひとが好み」
というから、わたしは角田さんと親密な関係になれるかもしれない。

わたしがはじめて「スローバラード」をきいたのは、25歳のときだ。
いっしょに車のなかですごせるひとはいなかったけれど、
「わるい予感のかけら」もなかった。

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posted by カルピス at 21:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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