本屋さんにいくとたくさんのトレーニング本がならんでいる。
わたしもこれまでに何冊かよみ、
自分にむいているとおもうところをためしてきた。
おそらくおおくのひとがのぞむのは、
できるだけ楽をして最大の効果をえようとすることで、
それぞれの本が主張するセールスポイントもここにある。
このトレーニング法は、こんなに簡単にタイムをのばすことができますよ、
とどの本もうったえる。
月に○○キロの練習でもサブ3(3時間をきる)は可能、とか、
これまでかかれた本はまちがっている、ほんとうは・・・、とか、
みなさんの練習はスピードがはやすぎる、とか、
ゆっくりはしるだけではだめだ、とか、
マラソン本はまったく魑魅魍魎の世界だ。
もちろん本によって目的がちがうわけで、
マラソンを完走するのめざしているひとにむけた本と、
3時間をきろうとするランナーとをいっしょにすることはできない。
しかし、おおくの本はだれにでも4時間とか3時間半をきることは可能で、
練習量も月に200キロ程度でじゅうぶんだという。
最小努力の最大効果をどの本もうたっているのだ。
マラソンにむけての3ヶ月、というプログラムも
たいていの本にとりあげられていて、
はじめの週はすごくかるい練習なのが、
だんだんと負荷がふえていき、
けっきょくはけっこうハードなメニューになる。
もっと楽なトレーニング法はないものかと、
わたしはまたべつの本をさがす。
わたしは、マラソン本の多様性は、
英会話の学習本というジャンルににているとおもう。
いろいろな学習法があり、それぞれの本が、
この本こそ決定版!と自信満々にうったえながらも、
どれをやったらまちがいない、という本はまだ存在しない。
ゴルフの石川遼選手がとりいれているというスピードラーニングは、
ききながすだけでOKというし、
ある本は、そんなことでは絶対に習得できない、と否定する。
単語が基本、という本があれば、
フレーズでおぼえないとつかえない、とか、
動詞のhaveとtakeをおさえたらまちがいない、とか
本の数だけ学習法があるようにおもえる。
結論じみたことをいうと、
マラソン本と英語学習本に共通するのは、
まったく努力しないで習得できるものはないということだ。
けっきょくは程度問題であって、
おおかれすくなかれ、コツコツと地道な努力をつみかさねていくよりない。
たとえ短期間のかぎったトレーニングをうちだしていても、
そのあいだはものすごく集中してとりくむことが前提となる。
いろいろなやり方があるなかで、
自分にあいそうな方法をきめて
しばらくつきあっていく。
すぐに効果はでないけど、最低3ヶ月はつづけてみる。
ランニングについていえば、
いくらはやくなることがわかっていても、
あまりくるしいトレーニングにむかう気はない。
ゆっくりながくはしるのがわたしにはたのしいので、
けっきょくこのやり方に、
多少のスピード練習をとりいれてお茶をにごす、
ということになりそうだ。
いまの練習では、マラソンで4時間をきれないけれど、
それでいいとおもっている。
達観というか、あきらめの境地だ。
あきらめはわたしの得意とするところで、
4時間をきる達成感よりも
ゆっくりとはしる気もちよさをえらぶ。
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