「書店員匿名座談会」がとびきりのできだ。
きょねんはAKB48風選抜総選挙、
そのまえは47都道府県パーソナリティ県民性分析表と、
いじっているわりにははずれの企画がづづいているので、
今年の座談会にも期待していなかった。
しかしよみはじめたらすごい。
これだけの情報をえるためにも、
『おすすめ文庫王国』をかう意味がじゅうぶんにある。
今年のスタイルは、Jリーグ20周年を記念しての
「文庫Bリーグを作ろう!」だ。
出版社をサッカーのJ1・J2・JFLみたいに
カテゴリーにわけ、順位をきめる。
チーム名とベストイレ文庫(ベストイレブン・文庫)もきめる。
もちろん昇格チームと降格チームも設定されてくるので、
降格圏あらそいはそれなりにきびしい。
すべてがおあそびとはいえ、
ここまでこると、ほんとうにカテゴリー別の順位が
出版社にあるような気がしてくる(わけはないけど)。
A 徳間はやっぱり落とせない。14位かな。
単行本ではロングブレスダイエットが大ヒット。
C じゃあチーム名は「ロングブレス徳間」ですか。
B プロレスラーの名前みたい(笑)。
D ひっくり返して「徳間ロングブレスSC」にしましょう。
B まさかの2部は朝日文庫です。
まるで今年のガンバみたいだけど、本当に良くないです。
D 良くない!
B 『相棒』が落ちついてから、迷走中ですね。
時代物に行ったり、警察物に行ったり。
C ころころ監督が代わるチームみたいです。
A あとは昇格決定戦に出られる2部の5位と6位です。
静山社文庫はどの辺でしょう。
D 2部以下に降格ですよ。「ハリーコケターFC」。
(静山社文庫は「ハリーポッター」の文庫をだしたのに、
みごとにコケたらしい)
ベストイレ文庫(ベストイレブン・文庫)もきれいにきまっていく。
ボランチに村上春樹を起用し、
C でも村上春樹は辞退しそうじゃない?(笑)
D 辞退した場合は宮部みゆきに頼みましょう。(中略)
A 最後の一人は繋ぐ人ですね。辻村深月かな。
D ピッタリですね。
いかにもありそうな状況分析が
参加者全員にいきわたっている。
総評もちゃんと実態にあっていて、どこまでもリアルだ。
新潮文庫(チーム名「ノーベル?FC」)については
「バルサ並の選手層ながら勝ちきれない試合が多かった。
昨年と比べ夏場(文庫フェアね)の失速もなかったものの、
最後は『1Q84』と『陽だまりの彼女』頼みで、
攻撃の厚みを感じなかった」
と、チームの特徴と有力選手(本)をからめて
きれいに説明されている。
戦術や気もちのもちかたなど、サッカーにおけるかんがえ方は、
人生にも、もちろんビジネスにも応用できるけど
(たとえば「リスクをおかしてせめる」など)、
まさかこれほどみごとに出版社がサッカー界におさまるとは。
かなりのサッカー通ばかりがこの座談会にあつまっただけでなく、
サッカーの有用性を顕著にしめしたものだろう。
文庫本だけをとりあげても
これだけたくさんの出版社があり、
その特徴を書店員の方がリアルに把握していることに感心した。
どれだけあそべるかが、そのひとのプロ魂をあらわす。
サッカー業界におとらず
出版会のレベルもそうとうたかい。
そういえば、出版もサッカーも、
おなじくらいながい歴史をもっている老舗同士だ。
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