ハイジのものがたりをおおきくわけると、
4つの状況があり、2つの出来事が起点となって
あたらしい場面にうつる。
1 ハイジが山の生活になれる
・フランクフルトへつれさられてしまう
2 ゼーゼマン家でのくらし
・ハイジが山にかえってくる(第34話)
3 ふたたび山でのくらし
4 クララが山にやってくる
フランクフルトへつれられていってしまう回と、
ふたたびやまへかえってくる第34話は、
場面転換として決定的な意味をもつ。
第34話では、
フランクフルトでの生活になじめず、
しかしクララのことをおもうと
自分だけ山にかえるわけにもいかないし、と
とうとう病気になってしまったハイジが、
お医者さまの適切な判断で、
ふたたびアルムの山にもどれることになった。
ハイジがフランクフルト駅から汽車にのって
アルムの山へむかう(つきそいはセバスチャン)。
一夜を汽車のなかであかし、いちどのりかえて、
だんだんとマイエンフェルト駅がちかづいてくる。
デルフリ村でハイジはセバスチャンとわかれ、
ひとりでおじいさんの山小屋へむかう。
ハイジが「おじーさーん!」とさけんだ瞬間、
山のおもいでが、ハイジの頭におしよせてくる
(パンとチーズの食事・わらのベッド・水のみ場)。
ハイジの声を耳にしたヨーゼフが
おおよろこびでハイジにかけより、めちゃくちゃなめまわす。
さわぎをききつけたおじいさんが、ハイジのいることに気づく。
ハイジはおじいさんにかけより、
大ジャンプでおじいさんにとびつく
(わたしの記憶では、5メートルくらい
「とんだ」ようにおもっていたけど、
注意してみるとほんの2メートルほどのジャンプだった)。
ふたりともなにもいえない。
ハイジはおじいさんにだかれて
なきじゃくるだけだ。
ハイジがいなくなってから、
「オンジ」はますます気むずかしくなったと
村のひとがうわさしている。
おじいさんは、ハイジがなにもしらないまま
フランクフルトへつれていかれたことをしらない。
ちいさな女の子が、こんな山のなかでの生活を
よろこぶわけがないと自分をせめていた。
そのハイジが、また自分のところにかえってきたことを
おじいさんはしんじられない。
みるまえからヤバイかも、とおもっていた。
第34話は、まちがいなくハイジのなかで
いちばんこころをふるわせるはなしだ。
これにくらべれば、クララがたちあがったことは、
オマケみたいのものだ。
ハイジは、ゼーゼマン家からぬけだしたのではない。
ゼーゼマン氏やお医者さまが、
クララに対するハイジのやさしさをありがたくおもい、
それでもハイジにはアルムでのくらしが必要なことに気づいた。
みんながハイジのしあわせをねがい、
アルムへかえることをみとめてくれたのは、
みんながハイジをだいすきだったからだ。
ハイジは堂々とおじいさんのもとにかえってきた。
おじいさんとアルムの山が、
自分にとってどんな存在であるかをしったハイジ。
おじいさんにだかれ、
安心してなきじゃくるハイジのしあわせを
ねがわずにはおれない。
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