2013年07月12日

『東南アジア紀行』(梅棹忠夫)の魅力

お風呂で本をよむ時間がながくなっている。
いわゆる半身浴というやつで、
ちょっとぬるいかなー、くらいの温度のお湯に
20分くらいつかっていると、
冗談みたいに汗がでてくる。
辻村深月のながい本も、そうやってかなりの分量をお風呂でよんできた。
大量にながれでる汗は、お風呂からあがってもなかなかひかない。
水をのむとまた汗がでてくるので、
もういちどお風呂につかって汗をながし、
ということを「お風呂」のあとさらに2回くりかえす。
なんだかんだと1時間くらい時間をかけたこの入浴で、
その日の老廃物を全部だしきったかのようなサラサラの皮膚になる。

お風呂のあとは寝床にねそべってよむ。
お酒をのみながらになるので、
なんどもよんできた本や旅行記など、
ねる前の読書にてきした本をえらぶ。
このごろは梅棹忠夫さんの『東南アジア紀行』と
村上春樹さんの『遠い太鼓』の、
数あるすきなところをめくりながら
いちにちのおわりの儀式をたのしむことがおおい。

『東南アジア紀行』は、1957年に梅棹忠夫さんが隊長をつとめた
大阪市立大学の調査隊についてのものだ。
タイ・カンボジア・ベトナム・ラオスを、
自分たちがもちこんだ車でまわる。
わたしがまだ生まれるまえにおこなわれたふるい旅行なのに、
なんどよんでもたのしめるのは、
歴史へのふかい知識とたしかな観察力によって
現地でみたこと・体験したことを、
梅棹さんが自分のなかでかみくだき、分析されているからだ。
梅棹さんは、みたことがない景色におどろきながら
そこに歴史的な意味をかさねて自説をくみたてる。
わかりやすくかかれていながら、学術的なかおりにあふれており、
目にしたものへのおどろきだけをつづった旅行記とは
一線をかくしている。
土地々々のめずらしいたべものや風習を紹介する旅行記はたくさんあるが、
梅棹さんのような文章をかけるひとはほとんどいない。

ジン・トニックにだんだんよっぱらいながら、
タイからカンボジアにぬけ、
そこからベトナムへ・ラオスへと足をのばしていく
梅棹さんの自動車旅行をおいかける。
いまから55年もむかし、自由自在に
東南アジアの国々をめぐったこの旅行記が
いまもなおわたしがやりたい旅行の原点になっている。

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posted by カルピス at 09:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 梅棹忠夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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