「いま『青木まりこ現象』を再検証する!」だ。
「青木まりこ現象」とは、
「書店にはいると突然便意をもよおす」
というもので、
28年前の『本の雑誌』(40号)にのった
青木まりこさんの投稿がきっかけで
おおくのひとがおなじなやみを
かかえていることがあきらかになり、
この現象がひろくしられることとなった。
2012年には「THEクイズ神」というテレビ番組で
「本屋に長時間いると便意を催す症状を一般になんというか」
という問題がだされ、20人中10人が正解だったというから
かなりの知名度といえる。
今回の特集では、「青木まりこ現象」の原因について
文字の量・インクのにおい・紙のにおいという3つの仮説をたて、
社員3人が取材している。
で、けっきょくはよくわからない、という
いつもながらのパターンだ。
「再検証」のため、青木まりこさん宅もおとずれている。
ややこしいことに、もしくはさいわいにも、
青木さんは偶然おなじ姓の男性と結婚されており、
いまも「青木まりこ」という氏名のままだ。
青木さんによると、28年後のいまでも
ときどきおなじ症状がおこるといい、
「自然に治癒するものでもなかった」
というのが取材班が得た情報だ。
わたしがはじめてこの症状についてしったのは、
吉行淳之介さんのエッセイをよんだときで、
吉行さんは「なぜかわからない」というかきかたをしておられたので、
さすがに達人は妙なクセをもっている、と感心したものだ。
一般的には、インクのにおいが便意をしげきする、
ということになっているのだそうだ。
数百万年という人類の歴史のなかで、
グーテンベルクによって印刷技術が発明されたのは
ほんの500年まえのできごとにすぎない。
紙、あるいはインク、もしくは活字が
便意になんらかの影響をおよぼすとしたら、
なぜそいういう現象がおこるかについての
正確な解説をまちたいとおもう。
わたし個人のことをいわせてもらうと、
これまで書店や図書館で便意をもよおしたことはいちどもない。
でも、本の背表紙をみているうちに、いつのまにか・・・
というありがたくない状況はリアルに想像できる。
すべてのひとにあらわれるわけではなく、
あるかぎられた、しかしけしてすくなくはないひとたちの身におきているのが
この現象のおもしろいところだ。
精神心理のふかいところにかくされている
人類の進化がかかえた謎のひとつなのかもしれない。
トイレつながりでいうと、読者の投稿コーナー「三角窓口」で
三浦しをんさんは、トイレの排泄音けしのために水をながさない、
つまり「音けしをしない」ことが紹介されている。
しをんさんらしい、いいはなしだ。
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