西部謙司さんが「2ステージ制への『改悪』について
」という記事をよせている。
・現在のJ1の競技レベルは悪くない。
・しかし、お客さんは増えていない。
・観客が増えないとお金が足りなくなるので、
新規のファンを作るために話題性の高いポストシーズンを導入する。
・それに大義名分を与えるために2ステージ制。
と、この議題の構図がわかりやすい。
お金がほしいから2ステージを導入するのであり、
それが「改悪」であることは、
Jリーグの関係者もわかっているのだそうだ。
それでもあえてとりいれるという判断がどうでるか。
2ステージ制への変更をきめた判断の裏には、
従来のファンへの期待とあまえがある。
熱心なファンは試合内容にかかわらず応援にきてくれるだろうから、
彼らを大切にするよりも、
ポストシーズンという話題をふりまいて、
あたらしいお客さんを獲得しようという意図だ。
西部さんは、
「日常性と相性のいい1ステージ制」
という視点から、
今回の「改悪」を「Jリーグがファンに『借り』を作った」
と指摘している。
コアなファンはすきなチームの応援にかけつける。
彼らにとってそれは、イベントではなく日常である。
そうやってJリーグをささえてきてくれたファンの方をみずに、
あらたなファンを獲得しようとするのだから、
Jリーグは丁寧な説明が必要だという。
おもしろいのは
「リーグ戦の8割はつまらないのが普通」
という西部さんの大胆な認識だ。
ひらきなおりではなく、
客観的にみるとそういうものなのだろう。
「リーグ戦の試合が全部好試合なんて
世界中探してもありはしないのだ。
それでも毎週のように観戦するファンは、
『つまらなくても見る』という人々である」
現在のJリーグは、世界的にもレベルのたかいリーグに成長しており、
「J1がつまらないとしたら『サッカーはつまらない』とほぼ同じだ」
という論法が小気味いい。
2ステージ制への「改悪」は、まったく突然の通達だった。
春秋制については慎重に議論しているのに、
2ステージ制があっさりきまったのは、
Jリーグ全体がよほどお金にこまっているからだろうか。
わたしは特定のチームのコアなサポーターではなく、
毎週土曜日に放映される試合をたのしみにしている
あまり熱心ではないサッカーファンだ。
その程度のファンには、いそがしい2ステージ制よりも、
これまでの1ステージ制のほうがおちついてつきあえる。
どこが優勝するかもおもしろいけれど、
毎年恒例の熾烈な残留あらそいもまた
1ステージ制ならではのスリルだとおもう。
もっとも、わたしのように試合会場にでかけないファンは
Jリーグのソロバンからはずれるわけで、
今回の決定にはまったく考慮されていない存在なのだろう。
以前2ステージ制をとっていた時期もあったのだし、
サッカーのおもしろみがまったくちがってしまう暴挙ではないにしても、
ファン不在の今回の「改悪」は残念なニュースだった。
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