先日の京都ー神戸戦がひきわけにおわった結果、
ガンバのJ1復帰がきまった。
J2にいながらもガンバのサッカーは注目をあつめ、
またその人気のたかさから、J2の集客数をたかめるなど、
「ガンバ効果」がおおくの面にわたっていると報告されている。
おもしろかった記事は、
西部謙司さんによる遠藤選手へのインタビュー、
「ガンバ・スタイルの神髄
倍返しのサッカーができるまで」だ。
2点とられたら3点とる。と、ここまではありとして、
ガンバは「4点とられたら、5点とり返す」。
こうしたサッカーが、どのようにできあがったのか。
一般的には西野前監督の就任から、とおもわれているが、
はじめから今のスタイルだったわけではなかった。
強力なFWであるマグロンをターゲットにしたロングボールがおおく、
パスサッカーは浸透していなかった。
西部 「それまでのオーソドックスなサッカーから
変わったきっかけは何だったのでしょう?」
遠藤 「明確なきっかけはないんです」(中略)
西部 「05年のリーグ優勝のときは、
それまでと何が違っていたのでしょうか」
遠藤 「わからないですねえ。ただ、4点とられても
5点とれる自信だけは、なぜか持っていたんですよ。
メンタルの持ちようは違っていました」
西部 「なぜ、05年でそういうメンタルに変わったのですか?」
遠藤 「積み重ねじゃないですか」
西部さんが「なぜ?」をくりかえして核心にせまろうとするのに、
遠藤選手は例によってつれない返事だ。
しかし、わざとはぐらかそうとしているわけではなく、
じっさいにそうだったのだろう。
ものごとのおおきな変化は、このようにはっきりした理由なしにおこる、
というところがおもしろい。
パスサッカーをはじめからねらっていたのではなく、
気づいたらそんな「倍がえし」のスタイルになっていた。
ガンバといえばおもいだすのが2008年のクラブW杯、
マンチェスター=ユナイテッドとの試合だ。
この試合で2点をさきにいれられたガンバは
そのあと3点かえしている。
結果は3-5でやぶれたものの、
まもりぬこうなんて、すこしもかんがえない
ガンバがすごくかっこよかった。
そのガンバがJ2に降格することがきまったきょねんの今ごろは、
さすがにさみしかった。
なぜ、あのガンバがこんなにかてないのか。
いったん降格あらそいのアリ地獄に足をすくわれると、
なにもかもがわるい方向へかたむきはじめる。
今シーズンのジュビロ磐田も、
まさかあのジュビロが、とおもっているうちに
どんどん負のサイクルからぬけだせなくなっていった。
このまえみていた試合の中継で、
「Jリーグもおおづめをむかえ、
『このままいくと』ということばを
よく耳にするようになってきました」
みたいなことをはなしていた。
うまいこというものだと感心する。
「このままいくと、優勝・・・」、
「このままいくと、自動昇格・・・」。
なんだか「このままいくと」というのが
固有名詞におもえてくる。
「このままいくと」ジュビロは降格だし、
神戸は自動昇格だ。
シーズンのおわりごろは、
「このままいくと」でかち点を算定して
昇格と降格のいきさきをうらなう。
微妙な位置にいるのが大宮アルディージャで、
ひとつの勝ちをはさんで連敗をかさね、
いつものひくい順位におちつつある。
とはいえ降格あらそいにくわわるほどではなく、
ベルデニック前監督のときにつみあげたかち点に
なんとかすくわれているかたちだ。
J2におちないからといって、
手ばなしでよろこべる結果ではけしてない。
この時期にアルディージャの名前がとりざたされないのは
なんだかものたりないような、おめでたいような。
「このままいくと」におびやかされずにすむ
アルディージャの関係者は
どんなシーズン終盤をむかえておられるだろうか。
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