2050年に世界の人口は100億人、
そのときのエネルギー消費量は、いまの2倍になっている。
地球は、それだけの負担にたえられるだろうか。
ブラジル沖で海底油田を開発する風景。
カナダでは、オイルサンドをほっている。
ブラジルの海底油田にねむる石油は、日本が消費する30年分、
カナダには100年分という莫大な量らしい。
ふかいところまでほりすすめるので、お金がかかる。
しかし、いまの原油価格なら採算がとれるのだそうだ。
いま、世界中がエネルギーを必要としており、
開発途上国はこれからもたくさんのエネルギーがほしい。
たかどまりしているガソリンの値段がさがることは もうないだろう。
ベトナムでは、これまで電気がこなかった村に
安定した電気が供給されるようになった。
ひとびとは町の電気屋さんに テレビや冷蔵庫をかいにいく。
おおくの地域で、エネルギーはこれから必要なのだ。
インドでも、インドネシアでも、
世界じゅうでおなじようなうごきがおきている。
トルコはロシアの協力をえて原発を導入することにきめた。
いまや、安全性は第一の課題ではない。
やすく、安定して供給されるなら、原発でもかまわない。
いま世界には426基の原発があり、さらに181基が建設予定だという。
福島原発の事故でも、ながれはぜんぜんかわらなかったのだ。
人口問題は、食料問題かとおもっていたけど、
エネルギー問題でもあった。
人類のエネルギー消費はふえつづける。
地球に当面のエネルギー資源はあるかもしれない。
しかし、環境がそれにたえられないだろう。
海底油田やオイルサンドから石油をくみあげれば、
海や大気汚染が ますますすすむ。
やめとけばいいのに。自分たちの首をしめるだけだ。
カナダは京都議定書からの脱退を表明したのだそうだ。
二酸化炭素排出量の削減目標をまもるより、
石油でもうけることをえらんだのだ。
全体をだれも把握できていない。
子孫たちがつかうエネルギーのことはかんがえず、
めさきの利益だけだ。
いま必要なのは、できるだけすくないエネルギー消費で生きることだ。
鈴木孝夫さんのように、ゴミをださず、
ものをかわない生活をおくる。
電力の利用も最小限にとどめる。
しかし、世界は反対方向にうごきだしたばかりだ。
テレビや冷蔵庫をほしがるインドやベトナムのひとたちに、
我慢しろという権利は先進国の人間にない。
モンゴルから中国の国境にむけて
石炭をつんだ何100台もの巨大なトラックがむかう。
とぎれることのないトラックの列は
すさまじい量の石炭をはこんでいく。
その圧倒的な光景は、世界のエネルギー消費の現状をみせつける。
こうして輸入された石炭がなければ、中国の電力はまかなえず、
中国の社会と経済をうごかすために 石炭がもやされつづける。
世界じゅうが恩恵にあずかっているやすい労働力と生産コストは、
こうした環境への悪影響にのっかってのものだ。
地球規模の問題を解決するには、
世界があしなみをそろえなければ、と番組ではうったえる。
しかしそれが、どれだけむつかしいことか。
スピードの問題もある。
2050年までに、どれだけのしくみがととのえられるだろう。
わたしは、無理だとおもう。
エネルギー政策のあしなみをそろえるよりも、
エネルギー消費のすくないくらしを
できるところからはじめたほうがいい。
エネルギーをめぐる世界のうごきが
こんなにもはげしくて、それにもかかわらず、
こんなにもさきのみとおしのないものとはおもわなかった。
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