2014年07月28日

基準をしめした西村さんの笛とノイヤー選手

Wカップの開幕戦、ブラジル対クロアチアは、
日本人の西村雄一さんが主審をつとめた。
ブラジルのフレッジ選手がPKを獲得したプレーについて、
あの程度で笛をふくのかと、西村さんの判断が印象にのこる試合となった。

選手たちの声をひろってみると、
この大会では、手をつかったプレーについてきびしく対応すると、
あらかじめFIFAからつたえられていたようで、
西村さんはその方針をしめしただけといえる。
それが第1試合目だったので、これ以降の試合に影響をあたえる、
インパクトのある笛となった。
こういうのを、大会の基準をしめす笛というそうだ。

わたしがしびれたのは、「基準をしめす」というかんがえ方だ。
どんなことにもこまかなルールがきまっているけれど、
それをじっさいに どこまで厳密にみていくかは
またべつのはなしだ。
ファールをしてはならないにきまっている。
でも、どこからがファールになるかは
ひとによって判断がわかれてくるだろう。
FIFAは今回の大会で、手をつかったプレーについて
きびしく対応することをきめていた。
しかし、それを口でいくらいっても
選手たちにはつたわりにくい。
西村さんの笛によって、どの選手も通達が口さきだけでないことをおもいしっただろうし、
手をつかって相手を牽制するのが得意な選手は、
ファールをとられないように それ以降は用心したのではないか。

基準をしめす笛は、組織の威信をかけたものでなくてはならない。
ある審判ひとりの判断ではなく、組織全体のかんがえであることをしめすために、
その後もその基準をまもりつづける必要がある。
西村さんの笛が、じっさいにその後の基準となったかどうかは
微妙なところだ。
大会がすすむにつれて、判断があいまいになっていったような気がする。
西村さんはFIFAの基準をしめそうと笛をふいたのに、
あとからはしごをはずされてしまったような印象がのこる。

今大会でもうひとつを基準をしめしたのは、
ドイツのゴールキーパーであるノイヤー選手だ。
ボールへの超人的な反射神経にもおどろいたけれど、
ノイヤー選手をきわだたせたのは、
なんといってもゴールキーパーという概念をうちやぶるひろい守備範囲だ。
ゴールキーパーは、ゴールちかくにいる守備専門のひとかとおもっていたら、
ノイヤー選手は平気でペナルティエリアよりそとにでて、
ピンチの芽をつんでいった。

いぜんオシムさんがよくいっていたのは、
ゴールキーパーもフィールドプレイヤーのひとり、というかんがえ方で、
足でボールをたくみにさばいて
攻撃の起点となることをもとめていた。
そういわれても、当時はピンとこなかったけれど、
ノイヤー選手のうごきをみることで、
オシムさんのいっていたことがやっとわかった。
キーバーは、11人目のフィールドプレイヤーであり、
ゴールをまもるだけのひとではないのだ。
ノイヤー選手をみていると、フィールドプレイヤーなみに、
ボールを足元であつかう技術が必要なのはもっともだとおもえる。
それまでの伝統的なキーパーがあたまにあると、
ノイヤー選手みたいなうごきは想像すらできない。
ディフェンスの、最終ラインのうしろは、
ぜんぶキーパーの守備範囲なのだ。

ノイヤー選手のうごきは、あるべきゴールキーパーの
あたらしい基準をしめすものだった。
ノイヤー選手の影響をうけて、ピッチ上をひろくかけまわるゴールキーパーが
これからはたくさんでてくるにちがいない。
とはいえ、ただでていくだけでは無人のゴールをねらわれる。
正確な判断力とスピード、それに
フィールドプレイヤーなみのボールコントロールができなければ、
たんなる残念なゴールキーパーだ。
おもいつきやあこがれだけで、だれにでもできるプレーではない。
ノイヤー選手がしめしたまったくあたらしいプレースタイルが、
これからはゴールキーパーの基準となることを、
おおくのひとがかんじる大会となった。

西村さんの笛は、これからも世界の基準として尊重されるだろうか。
何年かさき、サッカーが安全できれいなプレースタイルになったのは、
あのときの西村さんの笛がきっかけだった、
といわれるようになることをねがっている。

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posted by カルピス at 22:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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