「今日って、何日でしたっけ?」とたずねてきた。
50代のわたしは、こわくてそんなこときけない。
サラッと口にだせるのがわかさの特権だと感心した。
「きょうは10日です」
わたしはすぐにこたえられた。
きのうはむすこの誕生日だったのだ。
17歳になった。
夕ごはんはいつもよりにぎやかなテーブルになるよう
ステーキやサンドイッチをならべる。
料理はできるけど、きれいなもりつけや、
ひとてまかけた こまやかなおいしさがわたしは苦手で、
とにかくおいわいの雰囲気になればいいとおもった。
誕生日だからといってだんらんがはずむわけではなく、
いつものようにテレビをみながら、しずかにたべる。
きょねんの誕生日には、フリースのプレゼントと、
あとからおもいついて村上春樹さん訳の
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』をすすめている。
あれからもう1年がすぎたのだ。
ありがたいことに、なにごともない1年だった。
高校生だというのに、むすこは毎日5時に学校からかえってくる。
ときどきは友だちがあそびにきてくれるし、
夕ごはんがおわってからそとにでかけることもある。
それなりにあそびながら、ぶじに1年をすごせたことを感謝する。
むすこをまじえた いまの平凡な日常が、
あと1年ちょっとしかつづかないことを すこしさみしくおもう。
「web本の雑誌」に連載されている杉江さんのブログ「炎の営業日誌」に、
中2のむすめさんの背がのびて、杉江さんとかわらなくなったとかかれている。
http://www.webdoku.jp/column/sugie/
「大きくなれ。
どんどん大きくなれ」
背のたかさがおいつかれてがっくり、ではなくて、
おおきくなれといえる 杉江さんのふところのひろさが いいかんじだ。
なにもおこらないようでいて、すこしずついろんなことがかわっていく。
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