ドバイの特派員である渡辺淳基記者がよせたもので、
アラブ各国で人気があるという『未来少年コナン』をとりあげている。
しかし、記事は残念ながら『未来少年コナン』を正確にとらえていないようにおもえる。
宮崎さんの作品のなかで、コナンがいちばんすきなわたしとしては
ひとことかいておきたくなった。
渡辺記者によると、
『コナン』は「アドナン(コナン)が人々を助けながら冒険する物語」なのだそうだ。
コナンをみたのなら、なぜそんなふうにまとめられるのだろう。
『機動戦士ガンダム』について
もし「アムロが人々を助けながら冒険する物語」
なんていったら、ものすごい批判をまねくはずだ。
「暴力と宗派対立に引き裂かれた母国イラクの現状にどこか重なる」
ともかいてある。
コナンの世界を、アメリカとソ連(当時)の対立にあてはめたひともいたけれど、
そうしてきめつけると、「コナン」のおもしろさがわからなくなってしまう。
「イラクの現状にどこか重なる」というみかたは、
コナンに米ソ関係をもちこむよりもさらに無理がある。
そんなことをいっていたら、
対立する状況にあるものはすべて「どこか重なる」ことになる。
コナンはラナがだいすきなこと、
仲間といっしょに生きようとすること、
そのものすごいエネルギーが、アラブのひとには
かがやかしくみえたのではないだろうか。
また、記事は「日本のアニメには人間ドラマがある」という
ラナの役をつとめた方の発言を紹介している。
外国のひとにとっては、日本でつくられたアニメはどれもいっしょにみえるかもしれないが、
もちろんよい作品もあるし、そうでないものもある。
「日本アニメ」と、ひとくくりにするのではなく、
どんな作品が、どのようなかたちでうけいれられたかこそを
渡辺記者におしえてほしかった。
今朝の朝日には、べつのページに
「信頼される新聞をめざして」という記事ものっていた。
誤報問題で このところ朝日新聞への批判がたかまっていたから、
それに対応してのはなしかとおもったら そうではなく、
「訂正記事の書き方を変える」という報告だった。
しかしせっかくだから
「信頼される新聞をめざ」すという線ではなしをつづける。
吉田調書や慰安婦問題だからとくに公正に気をくばるのではなく、
たとえアニメについての記事であっても
事実を正確につたえることにかわりはない。
アニメがからむからといって、型にはめたイメージで、
こころあたたまる美談にまとめられるのは残念だ。
記事をよみ、アラブの国々で「コナン」がたかい人気をあつめているのをしり、うれしくおもった。
時代や国がかわっても、「コナン」はおおくのひとを夢中にさせる
すぐれた作品なのだ。
アラブのひとたちの、そのあつい気もちを、安直にまとめられたような気がして、
わたしはみすごしたくなかった。
「人々を助けながら冒険する物語」だなんて、
おねがいだからいわないでほしい。
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