旅行にはほとんどなにもしらない状態ででかけ、
かえってからその土地についての本をよむ、
というようなことをかいておられた。
旅行にいってみて、興味・関心がわいたところで
くわしい情報にせっしたほうが頭にはいりやすい、
というかんがえ方だ。
梅棹忠夫さんは、『東南アジア紀行』のなかで
「移動図書室」を紹介している。
日本やバンコクでかった たくさんの本を自動車にもちこみ、
移動しながら 自分たちがとおりかかっている土地について
しらべるやり方だ。
「現地で、実物を見ながら本を読む。
わたしはまえから、これはひじょうにいい勉強法だと思っている。
本に書いてあることは、よく頭にはいるし、
同時に自分の経験する事物の意味を、
本でたしかめることができる」
わたしが今回の旅行にもっていった本は、
『東南アジア紀行』以外はぜんぶ小説であり、
あいた時間をたのしむことばかりかんがえていた。
ガイドブックでさえ、おもさとかさばりをきらって
必要とおもえるページをコピーするだけにとどめた。
10冊も小説をもっていくのなら、
旅行の情報に もっと気をくばればいいものを。
旅行からもどり、家の本棚にあった ラオスについての本をひっぱりだす。
『東南アジア四次元日記』(宮田珠己・幻冬舎文庫)
『メコン・黄金水道をゆく』(椎名誠・集英社文庫)
『モンキームーンの輝く夜に』(たかのてるこ・幻冬舎文庫)
3冊とも10年ほどまえにかかれた本で、
いまよりもずっと旅行しにくかっただろうに、
それぞれじゅうじつした毎日がかかれている。
なさけないはなしだけれど、これらをよんでいたら、
わたしはまたラオスにいきたくなった。
こんなことなら、ゴロゴロばかりせずに、
はじめからもっとみてまわればいいものを、
日本にかえってから「またいきたい」なんて ひどいはなしだ。
まあ、1回目はそれでよしとする。
凡人がする旅行は、いちどでは収穫があがらないのだ。
失敗が旅行のだいご味であるともいえる。
小田実さん流のやり方をみならって、
つぎにラオスをおとずれるときは
いっぽつっこんだ情報をしいれ、
2回目ならではの視点でみてまわろう。
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