2015年04月04日

『マラソン100回の知恵』(原章二)ただしい市民ランナーへのみち

『マラソン100回の知恵』(原章二・平凡社新書)

このごろスピードをとりいれたトレーニングに関心がむいており、
手もちのマラソン本をよみかえしている。
この本は、5年まえによんでそれなりに感心したはずなのに、
いつのまにか自分流のトレーニングにもどり、
内容をすっかりわすれてしまった。
いったいどんな本だっただろうか。

「はじめに」で、
「これは市民ランナーの市民ランナーによる市民ランナーのための本である」
と宣言してある。なぜそんな本が必要なのか?
名ランナー・名コーチはエリートマラソンの専門家だが、市民マラソンの専門家ではない。(中略)距離は同じでも、走る人間がちがう。走る人間がちがえば、走り方がちがう。

今回よみかえしてみたのは、わたしのトレーニングにおいて、
スピード練習をどう位置づけるかを はっきりさせたかったからだ。
たいていのマラソン本は、ゆっくりはしる練習とともに、
スピードをとりいれたメニューもすすめている。
わたしもこのまえからヤッソ800をためしたり、
ウィンドラン(100メートルほどを全力で)をとりいれたりしている。
しかし、スピード練習にはさまざまな方法があり、
うっかり足をつっこむと、マニアックになりすぎるし、
故障をかかえやすい。
ウィンドランをためしたつぎの日には、さっそくヒザがいたくなった。
ランニング愛好家レベルのわたしには、負荷がつよすぎるみたいだ。
フルマラソンが4時間台の市民ランナーにとって、
どれだけのスピード練習が適切なのか。

たとえば、ぶじにフルマラソンを完走したら、
つぎの段階としてスピードをとりいれた練習をしたくなるところだけど、
原さんは、
市民ランナーが市民ランナーであるかぎり、これまでとちがう練習をすることはないと思う。妙ないい方だが、市民ランナーはつねに練習不足であるほうが安全である。というのも、初フルを完走したばかりの段階で頑張りだすと、そこでまた故障することが多いからだ。

とはいうものの、いつもおなじ練習ではあきてしまうので、
「週に二、三回の練習のうち体調にいい一回を、少しだけスピードを上げて走ってみることである」
と、ごくささやかに「スピード練習」をすすめられている。

ウィンドスプリント・ペース走・距離走について原さんは否定的だ。
コーチも仲間もなしに単独で走ることの多い市民ランナーが、硬苦しく考えて真剣に取り組むものではないと思う。インターバルトレーニングを含めて、それらは三時間半を切って、サブスリーを目指して走友会に入ったり、わざわざランニング教室に通うランナーがするものと考えたほうが無難である。

ペース走と距離走は、どちらも専門家の本にはいろいろ書いてあるが、はっきりいって市民ランナーにはやりづらい。(中略)仮にそれが可能だとしても、なにか悲壮で滑稽な感じがする。別に滑稽でもかまわないが、あまり夢中になってやっていると危険なこともある。市民ランナーの練習コースは、子どもも老人も犬も猫も歩き、自動車も自転車も通るふつうの道である。

ケガにつながりやすいことと、
市民ランナーの域をこえてしまうからだ。
そして、公園や道路は一般市民がつかう場所でもあるという指摘はおもい。
市民ランナーには市民としてまもるべきマナーがあるのではないか。
いくら自分がうえのレベルをめざしたいからといって、
ジムや公園ですきにふるまっていいわけではない。

わたしがいくジムでも、
ながらくはしるひとがトレッドミルを占用してしまい、
ほかのひとの迷惑になっている例がある。
じつは、それはわたしのことで、
そんなふうにトレッドミルでランニングの練習をされたら
まわりのひとはたまらないと自分でもおもう。
1回に30分と、時間をくぎっているジムもある。
ランニングの練習は、外でやればいいのだ。
ジムのトレッドミルは、健康づくりとしてあるきたいひとが
優先的につかえたほうがいい。
市民ランナーは、ジムや公園をつかわせてもらっているという感覚をわすれないでいたい。

この本は、べつに市民ランナーとしてのマナーをといてあるわけではなく、
ちゃんとフルマラソンをめざすときの方法もおしえてくれる。
たとえば6章の「マラソンの走り方 パートU」には、
20キロをすぎて くるしくなったときにどうやりすごすかがかかれている。
なにかいいことをかんがえる、はなし相手をみつける、
はしり方をかえてみる(スライド、着地の仕方、うでのふりなど)。
そして、それでもダメになったら?
「お母さーん、助けてぇー」と叫ぶのである。こころのなかで叫ぶのだから平気である。叫んでいると、ほんとうにお母さんが助けてくれるような気持ちになる。そんなときに「お父さーん」はだめである。お父さんは笑ってみているだけである。

名コーチたちの本は、「お母さーん」とさけべなんて、まずおしえてくれない。

マラソン本にしてはめずらしく、原さんの本は文章がこなれている。
とおもったら、原さんは早稲田大学の教授なのだそうだ。
原さんのようなランナーがわたしたちの側にいてくれるのはこころづよい。
市民ランナーの品格までかんがえたくなったのは、
この本がはじめてだ。
わたしはただしい市民ランナーとして、
原さんのトレーニング法を参考にしようとおもう。
4時間がきれる気はしないけど、
2回目のマラソンにむけてはしりたい。

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posted by カルピス at 20:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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