杉江さんが『朝が来る』(辻村深月・文藝春秋)を絶賛している。
http://www.webdoku.jp/column/sugie/
杉江さんと目黒さんが、これほどまでにいうのなら
かわないわけにいかない。
本屋さんにいくと、ちまたでも話題になっているようで、
目だつようにならべられていた。
わたしは2年ほどまえに、辻村さんの作品を集中的によんだときがある。
ほかの作家の本は手にとらず、
とにかく辻村さんの本だけをよんだ。
わたしの読書は、こんなふうに いちねんにひとりくらいの割合で、
だれかの作品ばかりをおいかける。
そのときにはほかの作家が目にはいらないくらい夢中なのに、
ある日とつぜん「もういいか」という気になって、おっかけがおわる。
辻村さんの作品は『ツナグ』『ぼくのメジャースプーン』
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『スロウハイツの神様』
『凍りのくじら』『ロードムービー』とすすみ、
『冷たい校舎の時は止まる』の途中でちからつきたというか
おなかがいっぱいになった。
辻村さんの本をよんでいると、べつの作品にでてきた人物が、
さりげなく顔をだしてファンをたのしませてくれる。
ひとつの共通した世界があるかのようだ。
『ぼくのメジャースプーン』はすきだけど、
かわいそうすぎて なかなかもういちどよむ気になれない。
『スロウハイツの神様』は、どれだけ伏線をはるんだと、
構成のうまさにおどろいたものだ。
「ある日とつぜん」は、いつくるかわからない。
それまであんなに熱中してたのに、
ひどいときにはきらいになったりする。
辻村さんにたいしてマイナスの感情はなく、
ただおなじものをたべすぎた満腹感だ。
じょうずな作家であることはよく承知しており、
『朝が来る』への期待がたかまる。
本以外でも、「ある日とつぜん」はもちろんやってくる。
だいすきだったたべものを、「ある日とつぜん」からだがもとめなくなる。
たべものなんかだとまだいいとして、
「ある日とつぜん」仕事がどうでもよくなるとたいへんだ。
いろんな条件をかんがえたすえに、
どうでもよくなるのなら それはそれでいいけど、
こまるのは きゅうに、ふとおとずれてしまったときだ。
仕事なんて、もともと気もちのもちようひとつでとりくんでおり、
いちどキレてしまうと、お金や将来のことなど、
いろんな理由をつけても なかなかもとにもどれない。
かんがえようによっては、
どうでもよくなるほど、こころがみたされたのだから、
仕事から卒業してもいい状況が、ようやくおとずれたともいえる。
無理してそれ以上とりくむ必要はない。
「ある日とつぜん」仕事がどうでもよくなっても、
とくにこまることがなければ、それはよろこぶべき、ひとつの達成なのかもしれない。
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