FIFAランク154位の格下チームをホームにむかえ、
サッカーに絶対はないというものの、
この試合ばかりは心配ないだろうとおもっていたら、
まさかの0-0でひきわけにおわる。
Wカップ予選は、なにがおこるかわからない、とよくいわれる。
アジアレベルのグランドコンディションに、審判の笛。
格上の日本にたいし、おおくの国が守備をかため、
「まけない」試合をしようとする。
日本がホームの場合、その傾向はとくにつよくなり、
どんびきの相手をどうくずすかが、いつもながら日本の課題だった。
しかし、それはもうわかりきったことだ。
日本はたくさんの経験をつんできたし、サッカーのレベルも数段あがっている。
ハリルホジッチ監督のもとに、
3つの親善試合を調子よくこなしてきた日本代表が
どんな試合をみせてくれるかに期待がたかまった。
しかし、日本は23本のシュートをあびせながら、
どうしても点がはいらない。
この試合を整理すると、
・相手ゴールキーパーの日だった
・運がすこしたりなかった
ということにつきる。
シンガポールのゴールキーパーは、たしかにすばらしいセーブもみせたけど、
ボールが彼にすいよせられていたのもたしかだ。
いいシュートがキーパーの正面だったり、
ねっころがっている姿勢のキーパーのところへ
ボールがゆるやかにパスされるシュートになったり。
ポストにあたったシュートもあった。
うちども うてどもはいらない。
ボールは「かってに」キーパーへむかっていく。
のこり時間がすくなくなり、選手たちがあわてはじめると
ますますゴールのにおいがしなくなる。
日本は単純にクロスをあげつづけ、
びっしり最終ラインにならんだ相手の6バックがぜんぶはねかえす。
もっとはやい時間にきめておけば、
まったくちがった試合になっていただろうに。
ハリルホジッチ監督にかわってからの3試合で、
すばらしい内容をみせてくれたから、
どれだけチームがうまれかわったかと錯覚してしまった。
重要な変化は、けっきょくまだなにもひきおこされていなかったのだ。
でもまあ、それはとうぜんかもしれない。
たった3試合ですべてをかえられる指揮官なんているわけないし、
そんな魔法があるはずもない。
いいときがあれば、そうでないときもある。
ハリルホジッチ監督のめざすサッカーが、
けして万能な解決策ではなく、
すべてはこれからつくっていくという あたりまえのことがあきらかになった。
NHK-BSの解説は早野宏史さんだった。
この日の早野さんは、日本の問題点を指摘しながら「解説」もさえていた。
(直前にたたかった)イラクは、アジアカップのときのイラクとはだいぶちがい、イラ6(イラ9ではなく)くらいで・・・ここらへんが早野さんの真骨頂だ。
内容のちがいをダジャレであらわしてしまう。
「あたらしいものをもつには、
まえのものにつみあげないといけない」
ともいわれていた。
そのとおりだとおもう。
これまでのサッカーを否定するのではなく、
それらを土台にしてつくりあげていくことを、この試合はおもいだせてくれた。
・たてにはやい攻撃
・タマぎわのつよさ
をハリルホジッチ監督はうちだしているけれど、
「たてにはやい攻撃」だけでは格下のチームをくずせない。
「タマぎわのつよさ」だって、シンガポールのほうがつよかったくらいだ。
すべてはこれからはじまる。
まさかのカウンターをくって、
まけなくてよかったとおもったほうがいい。
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