演題は『ナニモナイ』。脚本は西藤さんだ。
フラワーカンパニーズの『この胸の中だけ』がながれるなか、
役者ふたり(西藤さんと大原さん)が舞台にあらわれる。
BGMというより、この曲をふくらませたのが今回の『ナニモナイ』だ。
でもほんとうは、そういいきれるほどシンプルではなくて、
はなしが二転三転していき、みてるほうはあっけにとられる。
おっさん役の西藤さんが、きゅうに少年のつきびとになってへこへこしたり、
いきなりふたりが漫才をはじめたり。
とおもったら、少年はネタをわすれ、おっさんひとりの漫才になってしまう。
こんなシナリオをよくかいて、演じたものだ。
わからないけどひきこまれる。
西藤さんの狂気をかんじる作品だった。
西藤さんがやりたいのは、こういう劇なんだ、きっと。
そしてそれは、とても魅力があった。
ホールの入口が舞台になっており、
外の音がつつぬけではいってくる。
なにかの会がおわったのか、
おじさんたちが雑談しながら、ゾロゾロと建物の外にむかう。
やかましくて、気をそがれるトホホな環境だ。
そんな舞台で、ハタチ族はまいにち芝居をうっている。
そのうちもっとちからをつけて、
そんなときもあったねと、ハタチ族もお客さんたちも、
とおくをみる目で ふりかえるようになるだろう。
『この胸の中だけ』の世界だ。
一年間まいにち公演をする、365日連続公演プロジェクトにわたしはしびれた。
なんて無謀で わかものらしいこころみだろう。
そうはいっても、わたしにできるのは、演劇をみにいくことしかないので、
毎月1回はでかけることにする。
東京だけでなく、地方にも日常的に演劇とふれあう場を、
というポリシーがすばらしい。
『ナニモナイ』をみていて、
わたしが応援しているというよりも、応援されているのだとおもった。
やりたいことを、じっさいにこうして形にしているひとたちがいる。
こんな劇団が地元にあるのは、とてもありがたいことだ。
365日公演だけでもたいへんなのに、
西藤さんはさらにべつの劇団もはじめるのだという。
http://20zoku.jp/?p=1758
ハタチ族を解散するのではなく、
(西藤さんは)島根に劇団100個できたら、いいなって思っていたとか。
もう、待ちきれないから自分でつくっちゃえ!!ってことらしいです。
役者をやってみたい人も、スタッフに興味がある人も、何かを始めたい人も、いろんな、いろーんな人に呼びかけて、イチから作りたいのだそうです。
演劇の楽しさだったり、やりがいだったり、大変さだったり・・・。
そういうの、ぜーんぶひっくるめて演劇の魅力。
その魅力を直接、伝えることができるのは、やっぱり実際に演劇に触れてもらうしかない!
たくさんの人と演劇を楽しみたいーーー!!のだそうです。(石原ちみ)
わたしたちは、西藤将人がまだなにものかをしらない。
このひとは、いったいこれからなにをしでかしてくれるのか。
やはり、わたしたちは応援してるのではなく、応援されているのだ。
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