女子Wカップの準決勝で、日本はイングランド代表と対戦する。
しかし、なぜイギリス代表ではなく、イングランド代表なのか。
わたしはすこし、すっきりしないものをかんじる。
男子の代表なら、はなしはわかる。
世界サッカー協会ができるまえから
イギリスには4つの協会(イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド)がすでにあったので、
それらをひとつにしろとは、要求できなかった。
歴史的ななりたちから、
グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国(イギリス)は、
Wカップ予選に、4つの協会からそれぞれ1チームずつ参加する。
いわゆるサッカーの母国として、特別なあつかいをされても、
まあそういうこともあるかなと、納得できる。
しかし、女子Wカップがはじまったのは1991年だ。
ほかの国とおなじように、ひとつの国からひとつのチームをだすのが筋というものだろう。
男子とおなじように、女子までも4つの協会をみとめろという主張には、
いちど得た権利は手ばなさない、大国のゴリおしをかんじる。
いっぽうで、ひとつの協会が、男子と女子の両方をとりあつかうわけだから、
統一された協会がなければ、女子も男子とおなじように、
4つの協会がそれぞれ代表をだしてくるのは、しかたのないようにもおもえる。
国がひとつなのに協会は4つというのが、
そもそも無理なはなしなのであり、
それをみとめてしまった歴史的負の産物が
女子イングランド代表なのだろう。
オリンピックでは、イギリス代表としてチームが編成されているけれど、
なかみは完全な統一チームというわけではないようだ。
いちど協会ができあがってしまうと、
そのあとべつの協会といっしょには、なかなかなれない。
すこしまえの番組で、
もと日本代表の監督であるオシム氏が、
ボスニア・ヘルツェゴビナのサッカー協会を
ひとつにまとめるのにつくされたのをしった。
ボスニアでは、ボスニア人・クロアチア人・セルビア人のそれぞれが サッカー協会をもっていたため、
FIFAはこれを問題視し、オシム氏が正常化委員会の座長として
まとめ役をひきうけられた。
わかれていた代表を、ひとつにまとまるのは、
FIFAとしてはただしいかもしれないけれど、
オシム氏はさぞたいへんだっただろう。
はたからみていると、
ボスニアにそうやって代表をまとめるよう要求するのであれば、
イギリスにももとめたらいいようにおもう。
ボスニアに3つの協会があるのが問題なのはわかる。
ほかの国もおなじことをやりだしたら、FIFAはぐちゃぐちゃになる。
ひとつの民族がひとつのサッカー協会をもてば、
世界はものすごい数のサッカー協会であふれるだろう。
Wカップ予選はたいへんなことになる。
おなじように、イギリスの4代表というのも、
むちゃなはなしなのだ。
もしイギリスがただしいのなら、ボスニアの3協会もただしい。
いまの規則では、ボスニアが3つの協会をもちたければ、
それぞれの民族が独立した国をもつしかない。
中国は、あのひろい国と膨大な人口をかかえながら、
Wカップ予選にひとつのチームしかおくりだせない。
中国がつつましい国だからではなく、
それがルールだからだ。
もし中国が、たくさんの代表をおくりたければ、
中国内の各省に独立をみとめればいい。
それぞれの国がサッカー協会を組織できる。
しかし、そうなると、とうぜん中国はいまとちがう国になるわけで、
そうなってまで中国がWカップにたくさんの代表をおくりたいかどうか微妙だ。
ひとつの国がひとつの代表というのは、
なかなかうまいところをついている。
中国としたら、旧中国の国がWカップに出場したからといって、
あまりよろこぶ気にはなれないだろう。
こうしてみると、イギリスの4代表というのが、
いかにおいしいはなしなのかわかる。
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