いったいなにがおこったのか、
選手たちも状況をよく整理できない。
アメリカを相手に、あまりにもおもい4点だ。
アメリカは、準決勝のドイツ戦のいきおい そのままに
試合にはいってきた。
ときはなたれた馬が全速力でピッチをかけまわるように、
ゴールをめがけ すごい迫力でおしよせてくる。
どのチームにも魔の時間帯はおこりえるとはいえ、
あのいきおいでたたみかけられたら、
そしてそれが成功し、試合開始3分で得点がきまったら、
だれでもおちつきをうしなってしまうだろう。
宮間が選手たちをあつめ、たてなおそうとするが、
気もちをきりかえるまえに4点をうしなってしまった。
「たら・レバ」をいってもしょうがないとはいえ、
この試合はいくつも「たら・レバ」があった。
もし4点目の超ロングシュートがきまってなかったら、
前半30分に、ゴールまえでせりあったときに得点できていたら、
後半31分のコーナーキックで、澤のヘディングがきまっていたら、
そしてアメリカの5点目がはいってなかったら。
これだけ「たら・レバ」をあげておいて いうのもなんだけど、
4失点後の日本は そうわるくなかった。
ミスからのもったいない失点がなければ(また「たら・レバ」だ)、
みごたえのある「うちあい」になっていた試合だ。
選手たちをせめる気などまったくない。
これまできびしい試合をかちぬけたのは
彼女たちならではのちからだし、
この試合でも、4失点してもなお、
あきらめずにゴールをめざしてくれた。
彼女たちのおかげでいいものをみさせてもらえたと
ほんとうにおもう。
ロンドンオリンピックの表彰式では、
銀メダルにおわったくやしさをおさえ、
相手の健闘をたたえる余裕がなでしこにはあった。
汽車をつくってピッチにあらわれ、
手をつないでうれしそうにあるく選手たち。
今回の敗戦ではその余裕もなく、かたい表情のままだ。
いまは、よい敗者であればいい。
アメリカだって、4年前の屈辱があったから、きょうの勝利があった。
なでしこたちも、きょうの敗戦をつぎのチームづくりにいかしてくれるだろう。
アメリカの優勝に拍手をおくりながら、
これからなでしこたちがみせてくれる あたらしいサッカーに期待したい。
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