2015年08月26日

『命を弄ぶ男ふたり』劇団ハタチ族には台風でもお客があつまる

劇団ハタチ族の公演『命を弄ぶ男ふたり』をみにいく。
月にいちどでかけることで、応援になればという気もちと、
きのうは台風が直撃するおそれがあり、
お客さんがゼロになるのを心配したためだ。
夜なのに、台風のため 異様にあかるい空をながめながら
チェリバホールへいそぐ。

わたしとおなじように、
365日連続公演がとだえるのを心配する
ファン心理がはたらいたようで、
いつもとおなじくらいの11名という客数だった。
まえの列にすわっている男性ふたりは
「劇団ハタチ族は雲南市にもっと応援されたいんです。」
というTシャツをきている。
熱心なファンなのだろう、さかんに写真をとっておられた。
「もっと応援されたいんです。」というのだから、
いまの状態に満足していないわけで、
でもこうやって台風の日にかけつけてくれるファンがいるのだから、
そこそこ雲南市に根づいているともおもわれる。

劇の内容は、鉄道自殺をこころみようとする男性ふたりのやりとりだ。
ときどき汽笛とともに夜汽車がとおりすぎていく。
そのあいまに、
なぜ死をのぞむのか、とか、
あなたはわたしの気もちがぜんぜんわかってない、
といったやりとりがまじる。
はじめは、自分をさきに死なせてくれ、
と死にたがっていたのに、
だんだん会話がもつれていって、
あなたがさきにとびこめばいい、
わたしはそれをみとどけるから、みたいに
ゆずりあい、相手をけしかけたりと、
すこしずつ状況がずれていく。
ポツリポツリ汽車がやってくる間あいと、
汽笛の音が効果的だった。
ロシアの小説を、漱石の時代の日本人が演じたら
こんな劇になるのでは、なんておもった。

劇のあと、出演した西藤さんと井上さんが
おわりの挨拶として ふたたび舞台にあらわれる。
いつもなら劇についてはなすところを、
きのうは台風を心配して
「きょうはもうすぐかえりましょう」と
西藤さんがいう。
アンケートなんかいいので、
写真撮影だけ協力してもらい、
あとはすぐかえりましょうとせきたてる。
ほんとに台風のためなのか、
劇についてはなしたくないのかはわからない。
わらえる内容の劇ではないけれど、
みているうちに、それなりにひきこまれていく。
こうやってあたらしい劇にいどみながら、
団員が総合的なちからをつけていくのだなー、
とおもいながらみた。
気合のはいった井上さんの表情と、
台風にもかかわらずひとがあつまるハタチ族として、
印象にのこる夜だった。

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posted by カルピス at 11:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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