2015年09月15日

『本の雑誌 10月号』の特集は、角川商法にかみついた38年まえのいきさつがしりたかった

『本の雑誌 10月号』の特集は「角川春樹伝説!」で、
「死ね!死ね!!角川商法と本誌が咬みついてから38年・・・」
というかきだしからはじまる。なんだかおもしろそうだ。

角川春樹氏は、もちろん角川書店の社長であり、
かつては『犬神家の一族』『野生の証明』など、
話題になった映画をいくつも手がけている。
その角川春樹氏へのインタビューを坪内祐三氏が担当し、
おじさん3人組は角川春樹事務所をたずね、
春樹氏について職員からききだす。
ほかにも、 森村誠一氏や角川春樹氏のむすめ
角川慶子氏によるおもいでばなし、
中川右介氏の「薬師丸ひろ子を手放した男」など、
角川春樹氏がどんなにすごい仕事をしてきたかが
いろんな方面から紹介されている。
しかし、本の雑誌社が角川商法にかみついた
経緯と内容についてはふれられていない。
いまさら過去のゴタゴタをひっぱりだすのは よくないのだろうか。

それにしても「死ね!死ね!!角川商法」とは
すごい表現だ。
たぶん椎名誠さんによる記事なのだろうけど、
本の雑誌社として角川商法を批判しているのだから、
腹がすわっている。
あとのことをかんがえると腰がひけて、
正面きった批判はなかなかできないものだ。
つまらない雑誌にはちゃんとつまらないといい、
角川商法が出版界のためにならないとおもえば
その理由をあきらかにしたうえで批判する。
こうした批判にさらされる緊張感は、
きっといい本づくり・雑誌づくりにむすびつくだろうし、
読者も自分のかんがえをきたえられる。

本の雑誌社を創刊して間がないころ、
椎名誠さんはやたらと「死ね!」「うんこ」「ゴキブリ」と過激なことばで
出版社や雑誌に 容赦なくたたかいをいどんでいる。
1981年にだされた『もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵』には
だれにも遠慮しないで おもったことを
そのままにかいた記事がならんでおり、
初期の本の雑誌の熱気がつたわってくる。
目次からひろってみると、

「ほるぷ出版の本はかなしい」
「ブタ的編集人たちが作る金色のブタ的婦人雑誌」
「ゴキブリ雑誌を踏みつぶせ!」
「『フジ三太郎』は新聞マンガ界の恥だ!!」
「サンリオ出版『恐怖の報酬』のウンコ的本づくりに文句をつける!」

など、本や雑誌がすきでたまらない 椎名さんのイライラが、
そのまま挑発的なタイトルになったかんじだ。
文句をつけるのだから、
相手からの批判も当然うけてたつわけで、
その気がまえからくる本気さが
記事にちからをあたえている。
なあ、おまーらよ、どうせ雑誌をつくんなら、ちょっとこれは骨っぽくてエネルギーのある、作りがいがあって読んでゾクゾクする、そういうものをこしらえてほしいじゃないか。せめてそういいうものを作ってやろう!という迫力というものがほしいじゃないか。(「ゴキブリ雑誌を踏みつぶせ!」より)

自分たちがつくっている雑誌で、
堂々とほかのメディアを批判するのは
よほどつよい信念がなければできない。
たとえば朝日新聞に連載され、
いちおうマンガ界のおおものみたいにあつかわれていた
サトウサンペイ氏のマンガ『フジ三太郎』を、
はっきり「つまらない」といいきる遠慮のなさが小気味いい。

わたしは、出版社ごとにどんな特徴があるかについて、
まったく知識がないけれど、
自分の本棚に角川の本がすくないことに
あるとき気づいた。
わたしのこのみと角川の本づくりがあわないのか、
あるいは 本の雑誌がかみついた角川商法と わたしのこのみとに、
なにか関係があるのだろうか。
創刊から40年たち、本の雑誌のたち位置も
いぜんとはかわってきているだろうから、
いまもおなじような記事をもとめるつもりはない。
しかし、特集をくむくらいなのだから、
角川商法とのいきさつについて
かんたんにでもふれてほしかった。
そうでなければ なんで
「死ね!死ね!!角川商法と本誌が咬みついてから38年」
なんて むかしのはなしからかきだしたのだろう。

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posted by カルピス at 16:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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