2015年10月09日

むつかしい女性の会話文

コラム・イナモトをみていたら、
女口調についてのはなしがのっていた。
http://d.hatena.ne.jp/yinamoto/20060213
女口調で書くとどんどん書けるという話があって、実際にやってみるととてもよくわかるの。

かきやすいかどうか わたしはわからないけど、
本をよんでいると、女性の会話文はむつかしいとよくおもう。
たとえば、「〜だわ」「〜なの」
なんてはなす女性はあまりいないのに、
本のなかではいまだによくでてくる。
日常会話でわたしたちは、
それほど男らしさや女らしさを つかいわけていない。
それをそのまま会話文にすると
だれの発言かわからなくなるので、
本むけの女性ことばがつかわれるのだろうか。

女性作家でも「〜だわ」とやるひとがいるし、
男でも違和感のない会話をかけるひとがいる。
翻訳物のミステリーでは、
女性にどうしゃべらせるかが とりわけむつかしい。
翻訳であること、女性の会話であること、と
ふたつのハードルが 自然な会話のじゃまをする。
頭がよくて、行動派の女性が
「〜だわ」なんていえば、いっぺんに興ざめだ。
ある翻訳家の「〜わ」にどうしてもなじめなくて、
そのひとの本をよまなくなったことがある。
ふだんつかわれていないはなし方を本のなかにもちこんで、
いかに自然な会話としてよませるかが、
作者の力量となる。

とかきながら、わたしの配偶者は、
いまでも「〜だわ」「〜よ」を ふつうにつかっている。
なんのつもりだろうか。絶滅危惧種かもしれない。
そんなしゃべりかたは本のなかだけにして、
とおもいながら、ほろびられてはこまるので なにもいわない。

イナモトさんはことばあそびの天才なので、
女口調のはなしをエスカレートさせる。
「会社の議事録を女口調で書くのはダメ」が
イナモトさんのアドバイスだ。
<営業会議議事録(2006年2月13日)
作成:田中太郎
1.山田部長より
・最近、売り上げが目に見えて減ってるの
・A社の新製品「バラダイン・スーパーX」が価格・性能面で脅威ということもあるの
・でも、こういうときこそ、営業部の力をアピールするときよ☆

こうした女口調をおもいついたのは だれなのだろう。
ふだん女性でもつかわないはなし方を、
文字にするときだけとりいれたのは
画期的なつかい方だったのではないか。
とりあつかいに注意がいるとはいえ、
おもしろい発明だとおもう。
イナモトさんみたいに、わたしも女口調をためしてみたら、
配偶者とのあいだによこたわるふかい谷が
すこしは形をかえるかもしれない。

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posted by カルピス at 15:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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