ジョゼ(森脇千鶴)の不思議なはなし方が印象にのこる。
ひとことひとことおさえるように、
ぶっきらぼうだけど ちからがこめられた大阪弁。
相手のいいかげんなかかわりを ゆるさない迫力がある。
ジョゼのつくった朝ごはんを
恒夫(妻夫木聡)がおいしそうにたべる。
ごはんにだしまきとみそ汁。それにぬかづけ。
おかずを口にはこぶたび、恒夫の顔がほころんでいく。
恒夫がだしまきをほめても
「あたりまえや、うちがやいたんや。まずいわけないがな」。
はじめてジョゼが口をきく場面だ。
恒夫は実家での法事に、ジョゼをつれてかえろうとする。
障害者とつきあっていることを、
親戚たちにしられてもいいと、いったんは本気でおもっている。
ジョゼはしかし、そんな恒夫に幻想をもたない。
実家までもうすこしというところで恒夫がビビリ、
いきさきをかえてもジョゼはまったくおちこまない。
「海へいけ。うちは海をみとなった」
とすぐに気もちをきりかえる。
じっさいに海を目にすると、
「海か!すごいな」と、
ジョゼはこころの底から感激する。
人間としての魅力にあふれるジョゼだから、
障害をもっていても そんなのとは関係なしに
恒夫とつきあえそうだけど、
そうすんなりはいかなかった。
でもそれは、ジョゼの足に障害があったからだろうか。
健常者と障害者との恋愛などと、
障害のジャンルにこの作品をおさめようとしても
きっとうまくいかない。
ジョゼの存在感は、障害をまったく問題にしていない。
『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ)のなかで
この作品が話題にのぼる。
映画部の前田くんと武文くんがはなす場面だ。
この作品がすきな武文は、
コメンタリーをみるよう前田くんにすすめている。
コメンタリーってなんだ?
DVDをもういちどかけてみると、
本編再生のほかに「コメンタリー」もえらべるようになっていた。
本編をながしながら、
監督の犬童さん、それに主演の妻夫木くんと池脇さんが
自由におしゃべりしてる。
こういうのをコメンタリーというらしい。
かなりその作品にいれこまないと、
なかなかコメンタリーまでみないだろう。
武文は
「いや涼也、あれはコメンタリーも観るべきやって!
そこ観て改めて気づく発見とか、めっちゃあるんやって!」
というけれど、
舞台裏をしったからといって、
作品への理解がふかまるとはかぎらない。
わたしは ほんのさいしょだけで
コメンタリーをみるのをやめた。
きっといろいろわかるのだろうけど、
わたしには本編だけでじゅうぶんだ。
前田くんは、中学生のときに
同級生の東原かすみと
『ジョゼ』についてはなしたことをおもいだす。
かすみにとっても『ジョゼ』は
一番すきな作品だ(PG12指定なんだけど)。
中学のときからこの作品をすきになれるって、
すてきな子どもたちだ。
子どもだからこそ、ジョゼにつよくひかれるのかもしれない。
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