インフルエンザのため おやすみになったとしらされる。
きのうまでげんきに仕事をしていた職員もたおれ、
インフルエンザの強力な感染力と、症状がでる はやさにおどろく。
大雪の朝とおなじように、こうして特別な事態がひきおこされると、
なんだかテンションがあがってくる。
平凡な日常を愛し、「いつもといっしょ」をこのみながら、
突然わきあがってきた非日常もまた わるくない。
小学生のときも、インフルエンザがはやると、
学級閉鎖や学年閉鎖をたのしみに、おおさわぎするタイプだった。
いまでもまわりの雰囲気に 影響をうけやすいので、
急速にインフルエンザがひろまりつつあるとしり、
なんだかわたしまで気分がわるいような気がしてきた。
インフルエンザは症状がカゼとよくにているため、
カゼのひどいの、みたいに かるくおもわれているけれど、
世界的な流行で2500万人がなくなったスペイン風邪も
インフルエンザであり、当時は健康なわかい男性でさえ
バタバタとたおれていったという。
村上春樹さんが編集した(訳も)
恋愛小説のアンソロジー、『恋しくて』には、
1918年のインフルエンザ大流行を背景にした作品が
おさめられている。
この短編で、当時のインフルエンザが
いかにおそろしい伝染病だったかを わたしは はじめてしった。
まるで いまでいうエボラウイルスみたいに、
原因がわからないまま感染がひろまり、
ついこのまえまで元気だったひとが あっけなく死んでゆく。
ジャレド=ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』には、
いまの世界情勢をかたちづくったひとつの要因として、
ヨーロッパから新大陸へもちこまれた 伝染病があげられている。
免疫力のないひとたちが、
伝染病のまえに どれだけ無力でたおれていったか。
伝染病による感染力といえば、
1月から あたらしい部署ではたらくようになったわたしは、
わたしのやる気のなさが
ほかの職員に伝染しないことだけを気にかけている。
いまのわたしには、気力にあふれた仕事ぶりで
積極的に職場をリードするエネルギーはすでになく、
いわれたことを いわれたままに つつがなくこなすのが精一杯だ。
それすらも ほんとうはふたしかかもしれない。
自分ではなんとかはたらいているつもりでも、
まわりからみたら ただのかんちがいだったなんて、そうとういたい。
さいわいほかの職員たちは みんなやる気にみちており、
わたしの感染力など よけいな心配でしかないけれど、
ろくでもない職員が へんな空気もちこむ悪影響だけは
なんとしても いましめたい。
気をつけたいのは、わたしが無意識のうちに
おかしな影響を すこしずつまわりにおよぼすことで、
こういうのを健康保菌者とよぶのではなかったか。
いっけんわたしは保菌者にはみえないので、
自由にはなし、うごきまわりながら、
へんな汁をまきちらしているかもしれない。
やる気のない職員が事業所にいると ろくなことがない。
なんとか ほかの職員にわるい影響をあたえないで、
いかれたところのある ちょっとへんなおじさん、
くらいのところにとどまりたい。
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