3つの名前、たとえば「くま」「電車」「ボール」
などをおぼえてもらい、
しばらくほかのはなしをしたあとで、
さっきおぼえた3つの名前はなんでしたっけ?
と、ふりかえってたずねる検査がある。
わたしはこれがにが手で、
さっきまでしっかりおぼえていた名前なのに、
すこし時間をおくと まるででてこなくなる。
頭のなかがまっしろで、さっきまでそこにあった記憶が、
さらさらとこぼれおちてゆくのは いやなかんじだ。
だったら認知症をうたがえばいいのだけど、
あっさりみとめたくないし、
そもそも短時間の記憶力のよわさは、
いまにはじまったわけではなく、
30歳のころからあきらかに難があった。
30歳で すでに さっきおぼえた名前がでてこなかったのだから、
50をすぎて できなくてもあたりまえだ。
新聞に、まえの日の気温が毎日のっており、
最高気温と最低気温だけでなく、
それぞれ平年との差も わかるようになっている。
たとえば松江の きのうの気温は
最高 最低
11.6(-1.0)/2.7(-0.4)
という4つの数字がしるされている。
短時間の記憶力がたかまればと、
3ヶ月ほどまえから、
この4つの数字を暗記するこころみに、毎朝とりくんでいる。
短時間といっても、5分たてば わすれるにきまっているから、
まずは4つの数字を 正確におぼえられるかどうか、という段階だ。
残念ながら いまのところ めだった進歩はなく、
数字が簡単なら(-1.0とか)おぼえやすく、
複雑なら とたんに成績がわるくなる。
3つまでならともかく、4つとなると
わたしの記憶力では 手にあまるらしい。
でも、こうやって毎日やっていれば、そのうち 5分たっても
スラスラと4つの数字がでてくるようになるはず(なってほしい)。
50歳をすぎて「くま」「電車」「ボール」では
さすがにたのしくないので、
気温の暗記はちょうどいい課題となっている。
もしわたしをあてにげするような車がいたら、
4けたのナンバープレートを 記憶するのにやくだちそうだ。
こうやって4つの数字に注目していると、
気温が平年なみの日は、あんがいすくない
(個人の感想です)。
平年にくらべて あついかさむいのだから、
「あついですねー」
「さむくなりましたねー」は、
あたりさわりのない挨拶というよりも、
からだが正確に反応した結果かもしれない。
おとながお天気のはなしにながれやすいのは、
それなりの理由があったのだ。
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