「退職後の時間潰し」という記事がのっていた。
「退職後は、趣味がない、運動するほどの体力はない、
草を抜くほどの庭もない・・・」と、ないことずくしで、
トホホな生活を、かくさずにしるされている。
散歩も不審者とおもわれないように気をつかうので、
図書館へいくか、家で新聞をよむくらいしか
することがないらしい。
退職後に時間をもてあます、典型的な例だ。
典型的すぎて、ほんとにこんなひとがいるのかとおどろいた。
しかし、記事をよくよんでみると、
トホホよりも達観と知性がかんじられる。
退職した男たちのおおくは、
ひまをもてあましているとおもわれたくなくて、
いそがしそうにふるまいがちらしい。
そんななかで、投書された男性は、
すこしもかっこつけずに なにもすることがないと
率直にうちあけている。
これだけストレートにひまな毎日をかたれるのは、
自分の生活をおもしろがれる 才能があるのかもしれない。
あんがい時間をじょうずにつかう達人なのでは。
じょうずにつかうから、時間がたくさんあるのだ。
わたしが失業していたときは、
やたらといそがしくすごしていた。
仕事をしてないのに
なんでいそがしいのか ふりかえってみると、
けっきょく自分で時間をつぶしていたからだ。
それまで車にのっていたところは自転車に、
自転車にのっていたところはあるく。
トレーニングの回数をふやす。
田んぼや畑に手をだし、
寝酒をのみすぎてふつかよいし、
よみきれないほど本がたまっているのに、
さらにまた図書館で本をかりてくるし、
なによりもブログなんかをかくからで、
ようするに、自分でいそがしくしている。
このうえ恋愛なんかをしたら、パンクしそうだけど、
その心配だけはないみたいだ。
わたしの失業ちゅうは、時間がたくさんありながら、
いそがしくうごきまわるばかりで、
おだやかな生活とはならなかった。
投書をされた男性のほうが、
じっさいはみちたりた生活を手にしている気がする。
わたしのはたんなる時間の浪費であり、
ひまをおそれて いそがしくすごす、
退職後のおとこたちと おなじふるまいではなかったか。
「ひまでこまっています」をめざすくらいが
わたしにはちょうどいい時間のつかい方かもしれない。
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